セブンイレブンが店舗にヤマトの宅配受け取り用ロッカーを設置

セブンイレブンが店舗にヤマトの宅配受け取り用ロッカーを設置

セブンイレブンとヤマト運輸が協力して、セブンイレブンの店内や敷地内に荷物受け取り用のロッカーを設置するとの記事があります。セブンイレブンは自社グループのオムニ7に力を入れていて、競合企業であるAmazonや楽天の商品も受け取れなかったため、ヤマトのロッカーを設置することは少し意外な感じがします。

コンビニではイートインのお店が増え、日用品のニーズが高まるなど、売り場面積がもっとあればという状況ですが、さらに宅配ロッカーの設置で店舗の小ささが恨めしいところです。ネットショッピングの商品をお客さんが自分で受け取るようになれば、店員の業務負担が減りますし、接客にさらに力を入れることで売上を伸ばせそうです。

セブンイレブンとヤマト運輸が店舗に宅配ロッカーを試験的に設置

4月上旬から、セブンイレブンの店内や敷地内に、ヤマト運輸が配達する宅配便の荷物を受け取るためのロッカーが設置されるとのことです。1店舗で20個程度の荷物を預かることが可能、利用は無料、3日間荷物を置いておくことができ、ヤマトの会員制サービス「クロネコメンバーズ」への登録が利用条件となっています。

東京都内の30店舗に試験的に設置して利用状況を見ながら、将来的には全国の店舗への拡大、他社の荷物の受け入れなども想定されています。ファミリーマートやローソンも、3月から都内の数店舗で日本郵便の宅配ロッカーを設置しており、セブンイレブンも追随するような形になっています。

セブンイレブンが宅配ロッカーを設置するメリットとして、宅配を受け取りに来ることによる来店機会の創出、来店の習慣化があります。公共料金の支払い、ATMの利用、チケットの購入などでも、新しい来店機会を作り出せているため、宅配ロッカーの設置についても、確実に来店客を増やす効果が見込まれます。

セブンイレブンでは自社グループのネットショップ「オムニ7」の商品の店頭受け取りをすでに行っていますが、この受け取りのレジ業務が結構な負担になっているとのことです。オムニ7の商品も宅配ロッカーに入れて、そこでお客さんに自分で受け取ってもらうようにすれば、レジ業務が軽減できるのでメリットがあります。

ヤマト運輸の立場からすると、増え続けるネットショップの荷物に対応するため、様々な方法で配達の効率化を目指しています。セブンイレブンなどのコンビニは店舗数も多く、好立地にあるためアクセスも良く、荷物を受け取るお客さんの負担も小さいです。

宅配の荷物を最も効率よくお客さんに届ける方法は、コンビニで受け取ることではないかと考えています。オムニ7ではたまに「商品を店頭で受け取るとスイーツを1個プレゼント」などのキャンペーンを行っていますが、このようなキャンペーンを定期的に行えば、コンビニでネットショップの商品を受け取ることも習慣化されます。

オムニ7と競合する他社の荷物の受け取りを始めることは意外

オンライショップ各社は商品の受け取り方法を増やしていて、Amazonや楽天の商品はローソンやファミリーマートなど、いくつかのコンビニで受け取ることができます。しかし、セブンイレブンはネットショップとの連携が少なく、Amazonや楽天の商品を受け取ることができず、ローソンやファミリーマートとは異なる方針です。

これはセブン&アイグループでオムニ7を展開しているため、オムニ7とAmazonや楽天が競合するからではないかと考えられています。オムニ7でセブン&アイグループの商品を買い物してもらい、商品を受け取るためにセブンイレブンに来店してもらい、セブンプレミアムを買ってもらうというのが最も好ましいシナリオです。

セブン&アイの2017年2月期の決算発表資料によると、オムニ7の売上高は97,660百万円(14.2%増)となっています。このうち、ネットスーパーが44,735百万円、セブンミールが26,678百万円となっていて、オムニ7の多くの売上は食料品になっています。

オムニ7に占める「小売」の売上高の割合は小さく、Amazonや楽天と比較すると、品揃え、価格、買い物体験、ポイント、キャンペーンなど、総合的に劣勢に立たされています。セブンネットショッピングの主力商品は、本、コミック、雑誌、CD、DVD、ゲームなどですが、これらの商品はAmazonでも買えるので、Amazonからセブンネットショッピングへ乗り換えるお客さんは少ないかもしれません。

自社グループのオムニ7の商品受け取りを既に行っている中で、他社の荷物を受け取れるようにすることは少し意外な気がしました。自社グループにオムニ7があるため、他社の荷物を受け取るためにリソースを使うよりも、オムニ7の荷物を受け取るためにリソースを確保しておきたいと考えるからです。

オムニ7は2019年に売上高1兆円を達成することを目標にされていましたが、当初の期待通りに売上が伸びていない状況になっています。オムニ7の売上が期待ほど伸びない中で、お客さんの来店機会を増やすため、他社の荷物も受け入れるように方針が変わったのかもしれません。

新しいニーズの登場で大きな売り場面積のコンビニが求められる

小売業の店舗の大きさは様々ですが、コンビニは小さな売り場面積ながらも、高い商品回転率で大きな売上を上げています。コンビニの在庫管理や発注は他の小売業にとっても参考になることが多く、小売業で働く人たちもコンビニのやり方を勉強しています。

コンビニは飽和であると長らく言われ続けているのですが、小さな売り場面積にもかかわらず店舗数を増やし続けています。コンビニがお客さんに支持される理由は利便性で、便利な場所にお店があり、欲しい商品が簡単に見つかり、レジで待たずに買い物をすることができます。

コンビニは効率の良い小さなお店というイメージでしたが、今ではお店の小ささが成長の障害になるのではないかと思うことがあります。毎日忙しく働くお客さんからは次々に新しいニーズが生まれますが、そのすべてに応えるには、これまでのコンビニの売り場面積では足りそうにありません。

最近はイートインを導入するお店が増えていますし、日用品の品揃え充実のニーズもありますし、さらに今回は宅配ロッカーの設置です。ネットショップの商品の店頭受け取りが増えることはコンビニにとっても有益ですが、売り場面積の制約を考えると、処理できる件数も多くは期待できません。

新しいビジネス機会の登場により、大きな売り場面積、駐車場を持つコンビニが求められているため、コンビニの店舗フォーマット、出店戦略にも変化が出てきそうです。都市部で大きなお店をたくさん出すことは難しいと思うのですが、田舎の方では、大きなお店を作って売上を伸ばすチャンスがあるのではないかと思います。

駐車場が広ければ女性や高齢者のお客さんも来店しやすく、イートイン、豊富な日用品、ネットショップの商品受け取り倉庫と、多くのサービスを提供できます。田舎の方では買い物難民が増加することも予想されていますから、食品と日用品が買えて、各種便利なサービスが提供できるようになれば、長期に渡ってお客さんを囲い込めそうです。

接客業務に力を入れるために重要性の低い業務の負担を軽減する

今回、セブンイレブンが宅配ロッカーを設置する理由の一つとして、ネットショップの商品受け渡し業務に掛かる、従業員の作業負担の軽減があります。コンビニの業務は売り場面積も小さいこともあって、昔から楽な仕事だと考えられて来ましたが、新サービスが次々登場して業務も複雑になっています。

人材の採用が難しくなって、外国人が働いているコンビニも増えていますが、日本人と比較すれば教育コストが掛かります。採用が難しい状況からも、従業員の作業負担をいかにして減らすかというのがコンビニの重要な経営課題になっていて、今後も従業員の作業負担を減らすための投資が続きそうです。

コンビニの店員と言えば、昔は若い無愛想な大学生というイメージでしたが、中高年の女性の店員が増えて来ています。一般的に男性よりも女性の方がコミュニケーション能力が高いとされていて、コンビニでも中高年の女性の店員はお客さんに積極的に話し掛けていて、お客さんと会話をする機会も増えています。

重要性の低い業務の負担を軽くして、その分の労力を接客につぎ込むことができれば、これまで逃していた売上を得ることができます。例えば、コンビニのコーヒーは初めて買うときは買い方が分かりませんが、これを店員がサポートしてあげれば売上になります。

コンビニだけではなくすべての小売業に共通することですが、これからの時代は店頭での接客が重要になって来るのではないかと考えています。少子高齢化でお客さんの数そのものが減少しますから、お客さん1人1人を良く理解して、大切にして、しっかりと売上を作って行かなければならなくなります。

コンビニは商品の単価は安いものの、来店頻度は高く、お客さんに特別悪い印象を与えなければ、長く利用してもらえる可能性が高いです。ATMの使い方を説明する、コーヒーの買い方を説明する、情報端末の操作方法を説明する、コピーのやり方を説明する、こうした些細なことでも、お客さんは感謝してお店を使い続けてくれます。