小売業には顧客接点・顧客体験の改善が必要になっている

小売業には顧客接点・顧客体験の改善が必要になっている

顧客接点・顧客体験を改善するために、カスタマージャーニーマップの作成が有効であるとの記事があります。小売業はお店に商品を並べてお客さんの来店を待つスタイルですが、今の時代は小売業の側からお客さんに接触する方法がたくさん登場しています。

人口が減少して客数の増加が期待しにくい状況を考えると、小売業もお客さん1人1人を今まで以上に意識して対応するようになります。小売業はお客さんの店内の行動に重点を当てて来ましたが、来店前、来店後のお客さんの行動にも注目することで、売上を増やす新しいチャンスを見出せるのではないでしょうか。

規模の拡大と安売りで成長して来た小売業も転換期を迎える

小売業のイメージで思い浮かべるのは規模の拡大で、新規出店でお店を増やして、仕入れ規模を拡大して安売りを行うというものです。今でこそ小売業には様々な業態があって多様ですが、総合スーパーや家電量販店には依然として安売りのイメージがあります。

お客さんのニーズが似ている時代は、多くのお客さんが同じ商品を求めるため、お客さんが強く求めている人気商品を安く売ることが重要な経営戦略でした。今現在でも小売業において価格が重要であることはそうですが、経済成長力があった時代と比較すると、価格一辺倒では行かなくなっています。

小売業は基本的に売り場に商品を並べてお客さんを待つスタイルで、お客さん個人個人を識別するような考えはありませんでした。お客さん個人個人を識別する方法もなかったため、例えば、店舗周辺の商圏人口を見るなど、お客さんを集団として見ることを重視していました。

誰が商品を買っているかということは分からないため、売れている商品をさらに売るというのが最も成功する確率が高い戦略です。売れるものを売るというのは依然として効果的なやり方であり、お客さんのニーズが多様化していても重要だと考えられています。

小売業の決算書を15年くらい遡ってみると、売上高、営業利益が20-30%近く伸びている企業も少なくありません。2000年代は大規模小売業の規模の拡大がうまく行っていた時代でしたが、ここ数年は小売業を取り巻く環境が急に悪化しています。

ファーストリテイリング、ニトリ、ABCマート、ヤマダ電機などは小売業のトップ企業ですが、一部では、成長が鈍化したり、業績が不安定になっています。こうした変化を見ると、新規出店による規模の拡大だけではなく、別のアプローチが必要になっているように思います。

小売業にもカスタマージャーニーのマップが必要になっている

カスタマージャーニーというマーケティング用語が注目されていて、これからは業界に関係なくこのカスタマージャーニーが重要になりそうです。お客さんとの関係を旅行に見立てることで、そのフェーズフェーズにあった施策を行おうというものです。

この記事では小売業、旅行、スクール、自動車、保険が挙げられていて、それぞれのカスタマージャーニーは異なっています。小売業は商品をお店に並べて待つだけのイメージですが、小売りにおいてもカスタマージャーには存在していることになります。

小売業のカスタマージャーニーのフェーズは3つに分かれていて、来店前、来店、来店後になります。従来のイメージですと来店前はチラシですべてのお客さんに同様に訴求をして、店内でもすべてのお客さんに同様に接して、来店後はサポートが必要ない商品は売ってしまえばそこで終わりというものです。

すべてのお客さんに同じチラシを配るのは効率が良くないとは分かっていても、それ以外の方法もないので仕方がない点もあります。来店後についても、お客さんに個人情報をもらえないお店が多いので、お客さんにアプローチをすることが難しかったです。

来店前、来店、来店後と3つのフェーズでカスタマージャーニーを定義すると、今までよりもお客さんを大事にして接している感じがします。各フェーズでお客さんが何を思い、どういう行動をするのかを考えることによって、お客さんが望んでいるものを提供することができるようになります。

こうしたカスタマジャーニーの考え方が小売業に入って来ることで、規模の拡大による安売り以外の小売業が提供する付加価値が見えて来ます。商品を低価格で売ることは常に大事なことではありますが、それだけで競争していると低収益になってしまいます。

人口が減少する中でお客さん1人1人を大切に扱うようになる

日本の少子高齢化が進行していることを考えると、多くの小売業では客数を増やして売上を伸ばすことが難しくなります。少子高齢化については数年前からビジネス誌などで言われ始めましたが、現在では多くの人がよく知っている事実になっています。

どんなビジネスにおいても人口が減ることはショッキングなことですが、小売業では特にその影響を強く意識します。店舗に投資して近所のお客さんを待つ、店舗には固定費が掛かる、簡単に店舗を移動できないなど、小売業は人口の減少に脆弱な状況です。

人口が減少する中でどうやって売上を増やすかですが、購入点数を増やす、商品単価を高めるの2つになります。単価の高い商品を売ることは難しいですから、安い商品、ほどほどの価格の商品をたくさん、何度も買ってもらうことが好ましいです。

小売業はこれまでお客さんを個別に認識していませんでしたが、これからは個別に認識することが不可欠になりそうです。お客さんを個別に認識したい小売業は、ネットショップ、ポイントカード、プリペイドカード、ショッピングアプリなどでお客さんと接触する機会を増やします。

お客さんにたくさんの商品を買ってもらおうとする戦略については、小売業にはまだまだ商品を売る余地があると考えています。店内にはお客さんに見てもらえていない商品もたくさんありますから、どうやって一つでも多くの商品を見てもらうかです。

ネットショップで気になる商品を検索してから来店してもらう、店内でショッピングアプリで検索してもらうなど、商品を見てもらうための工夫があります。お客さんに来店前、店内でこのような行動を取ってもらうように誘導できれば、商品を知ってもらい、買ってもらう機会が増えます。

ネットショップを活用してカスタマージャーニーを強化

小売業とお客さんの関係は店舗で結びついていますから、何らかの理由で関係が崩れてしまうと、売上が減少してしまいます。お客さんが転職、転勤などで店舗のないところに引っ越しをしたり、店舗が閉店するとお客さんと店舗の関係もそこで終わりです。

お客さんが引っ越しをすればお客さんを失ったことになりますが、お店側の立場ではお客さんを失ったことも知ることができませんでした。しかし、実店舗だけではなくネットショップがあれば、お客さんが実店舗から離れた後もネットショップで買い物をしてもらうことができます。

Amazon、楽天、Yahoo、LOHACO、ZOZOTOWNは人気のネットショップですが、これらの店舗は長期に渡って成長を続けています。成長が続く要因は様々あるはずですが、お客さんと離れることがないという点は重要です。

実店舗と違いお客さんはどこにいても買い物をすることができますから、お店に買い物に出かけるという感覚がありません。この点は実店舗に対するネットショップの優位な点で、実店舗もネットショップを持つことで同じ利点を得られます。

すでにお客さんからの人気が高い小売業が、テクノロジーを用いることでさらにお客さんを囲い込むことになります。ファーストリテイリング、ニトリ、ABCマートなど、お客さんの人気が高い企業ほどテクノロジーへの投資も早いです。

人気の商品を持つ企業が買い物がしやすい環境を整えることで、販売機会やお客さん自体を失ってしまうリスクを回避しようとしています。実店舗がネットショップを持つことで、カスタマージャーニーの来店前、来店後のフェーズでお客さんと常に接触することが可能になります。