マクドナルドが200円メニューを投入して高価格路線へと転換する

マクドナルドが200円メニューを投入して高価格路線へと転換する

マクドナルドがビッグマックの価格統一、昼のセット割引の廃止、200円メニューの追加などの新しい施策を発表しています。客数の増加が期待しにくくなり、客単価を高めなければならない中で、100円マックのワンランク上の200円の商品を充実させるのは良い方法です。

マクドナルドは老朽化した不採算店を閉店していますが、これからの時代に合った新しい店舗フォーマットが必要です。人口が減少することを想定して、販売管理費を抑えた小型店を作って、オンライン注文の宅配、テイクアウトで売上を作るやり方にはチャンスがあります。

2000年中盤からの成功パターンがここ数年で一気に崩れた

マクドナルドは不調が続いていて業績が反転するのには時間が掛かりそうですが、2011年には過去最高益を出していて数年前までは絶好調でした。2000年代の中盤から毎年業績を伸ばしていたのですが、成功要因は客数(リピーター)の獲得だとされています。

100円マックの安さと品質にお得感を感じるお客さんがたくさんいて、そのお客さんがリピートするので客数が伸びて売上が増えます。クオーターパウンダーのような高価格の商品もあって、100円マックと高価格の商品がセットで売れることで、客単価を高める販売方法が成功していました。

今のマクドナルドのように急激に売上が減ってしまう原因は客数の減少で、客単価はほとんど関係していません。特定の商品が嫌われているというよりは、商品を含めたマクドナルドの飲食体験自体がお客さんに支持されなくなったということです。

よく言われる言葉が「デフレからの脱却」で、お客さんはマクドナルドの低価格の商品に魅力を感じなくなったというものです。わずか数年前に過去最高益を記録していることを考えると、お客さんの変化が急激なものであることを実感させられます。

マクドナルドのような低価格の飲食業が敬遠される理由ですが、いくつかの社会環境の変化が思いつきます。食べログ、ぐるなびなどの口コミサイトの利用者が増えることで、お客さんの飲食への関心が高まり、高価格の商品を求めるお客さんが増えています。

また、コンビニ食品、惣菜、ピザ、うどんなど、比較的低価格の食品で品質の良いものが増えていて、お客さんの食べ物の選択肢が増えています。マクドナルドは歴史が長い企業なので仕方がないことではあるのですが、飲食業全体で商品開発が活発な中で停滞感があります。

客数から客単価を伸ばす戦略へと大きな転換が必要になる

上場している飲食チェーン店の決算書を見ると、客数の減少、客単価の増加が同時に起こっている企業が増えています。ロイヤルティーの低いお客さんが離脱して、ロイヤルティーの高いお客さんだけが残るため、客数が減って客単価が増える状況になります。

ロイヤルティーの高いお客さんはお店のことをよく知っていて、いろいろな商品を注文するので、ロイヤルティーの低いお客さんが減れば客単価が高くなります。飲食業界でお客さんの奪い合いが激しくなれば、客数の減少、客単価の増加が増えて来ます。

人口が減少行くことが確実視されているため、客数を伸ばすことは難しく、今よりも高価格の商品を販売して行くことが全産業で共通の戦略です。マクドナルドはこれまで客数を増やすことで売上を伸ばして来ましたが、高単価の商品を売る方向へと転換することになります。

モスバーガー、フレッシュネスバーガーなどのマクドナルドよりも高単価のお店は、マクドナルドのように業績が悪化していません。これは客数よりも客単価の方に軸足があるため、少子高齢化が進む中でもマイナスの影響を小さくすることができています。

マクドナルドや牛丼チェーン店のように低価格の商品を売って来たお店は、正反対の方向である高価格路線へと転換することが難しいです。牛丼は定期的に高単価の商品を出したり、値上げをするなどして高価格路線へと変化しようと努力しています。

しかし、高単価の商品は最初は売れても定着せず、値上げをすると客数が減るため、結局はまた値下げをしなければならない状況を繰り返しています。客単価を伸ばすことは難しいので昔のように客数を伸ばしたいと考えますが、日本全国のマクドナルドや牛丼チェーン店にお客さんがどっと押し寄せるというのは個人的には想像できないものです。

客単価を高める戦略として200円はお得感のある良い価格設定

マクドナルドが2000年代の中盤から客数を増やすことができた要因は、気軽に買えて客単価も伸びやすい100円マックの存在が大きいです。しかし、現在のように苦境に立たされている状況では、100円マックが逆に売上を押さえつける存在になっています。

女性や食の細い男性は100円マックを2,3個買えば満足できますが、今の時代に200円、300円の客単価は低すぎます。今もマクドナルドをリピートしているお客さんはいますが、おそらく100円マックばかりを繰り返し注文しているのではないかと思っています。

今回、200円のメニューを3種類、新しく追加することが発表されていますが、客単価を高めるための良い方法です。お客さんには100円マックからのグレードアップを促すわけですが、150円でもなく、300円でもなく、200円が好ましい価格だと思います。

コンビニとファーストフードが競合している状況ですが、100円マックはコンビニの商品と比較しても価格が安すぎます。特にハンバーガーが100円というのは商品としても「不当に安い」状態で、このような低価格で売り続けるのは自虐的だと言えます。

ビッグマックなどの高価格の商品はあまり売れてないそうですが、高価格の商品はこれからも売れないのではないかと思います。ハンバーガー1個に400円を払う価値があるかと考えると悩むところで、400円で買えるお得な食べ物が他にもたくさんあります。

逆に200円でお得感を感じる食べ物があるかと考えると個人的にはなく、この価格帯には大きなチャンスがあります。お客さんがハンバーガーの美味しさに価値を感じることが前提になりますが、200円はお手頃で払いやすく、お得感を感じてもらえます。

スクラップアンドビルドで時代に合った小型店が求められる

マクドナルドは閉店作業を進めているとのことですが、お客さんのブランドイメージや規模の経済性が弱まる点は不安材料です。古いお店ほど景気が良い時代に建てられていますから、多くの客数を裁くことを想定して大きなお店になっていることが多いです。

しかし、今のマクドナルドは客数の減少に加えて、鶏肉問題の追い打ち、さらに日本全体の人口減少の問題もあります。客数の回復が見込めない中で大型店を改善することは難しく、今後も客数の増加が見込めない古いお店は閉店せざるを得ません。

飲食業でも小売業でもそうですが、歴史の長い古い企業は時代に合った店舗フォーマットの開発が必要になっています。小売業では総合スーパーが変革の時を迎えていて、ダイエーは食品だけを売る、従来よりも小さい新しい店舗フォーマットを開発しています。

小売業では商品が売れにくくなっているカテゴリが増えていて、販売効率を高めるためには、お店を小さくしなければなりません。マクドナルドも売上の大きな増加を見込めない状況になっていますから、運営コストの小さいお店で効率よく商品を販売する方向性になると思います。

マクドナルドの新しい店舗フォーマットですが、テクノロジーを駆使した新時代のファーストフード店が登場するかもしれません。店内で素晴らしい飲食体験を提供するというよりは、作業の無駄を省いて、人件費を削減して、便利で効率よくお客さんに商品を提供するような感じです。

宅配はまとまった注文がもらえて客単価が伸びるので、事業所、イベント、家飲みなどのニーズを狙える可能性があります。オンライン注文のテイクアウトも大きなチャンスで、受け取り専用の店舗フォーマットがあれば住宅街の中にも出店することができます。