企業の昼食にお弁当を届けるデリバリーサービスのシャショクル

企業の昼食にお弁当を届けるデリバリーサービスのシャショクル

弁当配達サービスの「ごちクル」を運営するスターフェスティバルが、企業の昼食向けのお弁配達サービスの「シャショクル」を始めるとのことです。企業向けサービスで新しい売上を狙うとともに、弁当の数量を増やすことで、仕入れ、調理、配達など、各工程の生産効率を高める効果も期待できます。

企業側のメリットは、味、価格などの弁当自体の価値というよりは、従業員が社外に買い物に出なくて済むことによる仕事の生産性アップが大きいです。弁当の品揃えを増やすとともに、販売規模を拡大して価格を下げることができれば、長期に渡ってお客さんを囲い込める可能性があります。

お店の代わりに弁当のオンライン販売と配達を行うごちクル

ごちクルは2009年に創業したインターネット経由の弁当配達サービスで、2015年には累計のお客さんが800万人を越えています。ごちクルはインターネットでの集客と配達を行っていて、弁当は提携している企業や飲食店が作っています。

インターネットでは売り手と買い手をマッチングするビジネスが多いですが、ごちクルの場合は配達にも関わっている点が特徴です。集客だけではなく配達にも関与することで、飲食店にもお客さんにも質の高いサービスを提供することができます。

飲食店の立場からすると、集客と配達をごちクルがやってくれるので、弁当を作って、後は配達の人に任せることになります。単なるマッチングではなく配達もあるので手数料は高いはずですが、集客や配達に人員を割かなくて済むことはメリットです。

また、最低注文個数が設定されているため、食材の調達と調理を計画的に効率よく行うことができ、無駄がなくなって利益率が良くなります。ローリスクで新しいお客さんを獲得することができれば、ごちクルを魅力的な販路だと考える飲食店もあると思います。

ごちクルが狙っているお弁配達サービスのニーズは、会議、集会、飲み会など、弁当がまとまった個数必要になるケースです。このようなイベントに定期的に関わる人にとっては、美味しい弁当をどうやって用意するかというのは重要なタスクになります。

近所で探すと弁当の選択肢は少ないですし、配達がないお店の場合、自分で取りに行かなければなりません。場所、時間、個数、配達など制約条件が多く、まとまった数量の弁当を求めるお客さんには負担の大きい作業ですが、ごちクルはこれらの問題を解決するソリューションになります。

個人に届けている弁当を企業に社食として届けるシャショクル

企業に弁当をデリバリーする新サービスのシャショクルは、個人向けのサービスであるごちクルの企業向けバージョンだと言えます。個人のお客さんの需要は単発で分散していることもありますが、企業のお昼ご飯の需要は継続的にまとまってあります。

また、企業の社食として食べてもらうことで商品を知ってもらい、その後、個人としての注文に繋がる可能性もあります。オンラインサービスはお客さんにリーチすることが難しいですが、多くのビジネスマンと接触できる機会は重要です。

ごちクルもシャショクルも弁当を届ける物流サービスですから、収益性を高めるためには弁当の数量を伸ばしたいです。物流に掛かる車両費、人件費は固定費であることが多いですから、1台の車両で配達する弁当の量が増えるほど収益性が高まります。

個人の注文は数量も配達場所も分散しますが、まとまった企業の注文が入れば、物流効率が安定することが期待できます。長期の契約が見込めるシャショクルを軸に各方面に物流網を構築して、その中にバラツキのある個人の注文を便乗させることができれば物流効率が安定します。

企業の昼食のニーズは規模と継続性がありますが、お客さんを飽きさせることなく、囲い込み続けることは難しいことです。週5日、毎日弁当を食べると仮定すると年間250回くらい利用しますから、弁当の豊富なラインナップが必要になります。

ごちクルのサイトを見ると弁当を提供しているのは小さなお店が多いようなので、弁当の調達能力も不安があります。コンビニのように次から次に新しい弁当を出していかなければ、弁当に飽きたお客さんは離脱して行くことになりそうです。

シャショクルには企業にアピールできる確実なメリットがある

私も昼食に弁当の配達を利用したことがあるのですが、企業の昼食に弁当を届けるサービスはこれまでもありました。しかし、小さな企業が運営していることが多いので、弁当の種類は少なく、新しい弁当が追加されることもほとんどありませんでした。

企業は福利厚生の一部としてこうしたサービスを利用するのですが、従業員がすぐに飽きてしまうので、使いやすいサービスではありませんでした。シャショクルは複数の飲食店・企業と連携しているため、従来の単独の飲食店、企業のサービスよりも品揃えは豊富で、飽きる可能性が低いです。

弁当配達サービスを利用する企業が期待していることのひとつは、従業員が外に昼食を取りに行く作業をなくすことです。BtoCビジネスの場合は時間帯に関係なくお客さんからの電話が入って来るので、対応する従業員がいないと業務が遅れてしまいます。

今の時代はオンラインで仕事が進みますから、お客さんに即答しなければ他の企業に注文が行ってしまう可能性も大きいです。お客さんは昼の休憩時間にいろいろと私用をしますから、そうした私用を受ける側の企業は売上が得られる大事な時間帯です。

弁当というと単なる「食べ物」だと考えてしまいますが、シャショクルは問題を解決するソリューションになっています。企業は従業員が外に出て行くことを減らして生産性を高め、従業員は美味しい弁当が安く買えれば、双方にメリットがあります。

企業、従業員の双方に訴求できるメリットがしっかりとあるので、利用しようと考える企業も多いのではないでしょうか。やはり重要になるのは弁当のラインナップと新商品の追加頻度で、お客さんが弁当に飽きなければ長期の契約が期待できそうです。

スターフェスティバルが提供する価値はAmazonと同じ利便性

小売業、飲食業では商品が重要だと考えられて来て、例えば、飲食店や弁当であれば味や価格での差別化を図って来ました。しかし、情報化社会が進んでいる現在では、優れた商品、サービスが出てきれば、他社に簡単に真似をされてしまいます。

どこのお店を利用してもそこそこのものが買えるため、お客さんに品質の違いを感じてもらうことが難しくなっています。これまで主流であった商品での差別化が難しくなる中で、「買い物のしやすさ」が新しい付加価値として登場しています。

AmazonとAmazonに商品を提供している企業の関係は、スターフェスティバルとスターフェスティバルに弁当を提供している企業の関係と同じです。Amazonもスターフェスティバルも複数の企業から商品を集め豊富な品揃えを用意して、それをまとめてお客さんに届けることで「利便性」という付加価値を提供しています。

お客さんは複数のお店をチェックしなくても、複数のお店が集まっているAmazonやスターフェスティバルをチェックすれば良いです。お客さんが商品の品質に加えて買い物の利便性も重視するようになれば、小売業、飲食業は今まで以上に商品を売ることが難しくなります。

Amazon、アスクル、LOHACO、ZOZOTOWN、ロコンド、Monotaroなど、複数の企業の商品をまとめて注文することができて、まとめて受け取れるネットショップが人気になっています。こうしたネットショップがいくつも存在する意義はなく、各カテゴリに1社か2社だけが存在することになります。

今後、弁当デリバリーのニーズが拡大することになれば、スターフェスティバルがお客さんを囲い込む有力な企業になりそうです。弁当は近くのコンビニやスーパーで簡単に買える商品ですが、弁当ですらお客さんがオンラインで買うようになれば、実店舗のビジネスはますます難しくなります。