少子高齢化が進む中で小売業が売上を増やすためにやること

少子高齢化が進む中で小売業が売上を増やすためにやること

少子高齢化が進んで人口が減少することが確実視されていて、小売業でも客数が減少している企業が増えています。小売業と言えば新規出店による規模の拡大が基本戦略でしたが、少子高齢化の時代になれば、規模の拡大以外の新しい戦略が必要になります。

小売業が取り掛かり始めている、あるいは、これから取り掛かるであろう新しい戦略を4つあげてみました。既存顧客に便利な買い物体験を提供することで囲い込みを強化して、販売カテゴリと購入金額を増やすことが新時代の小売業の戦略だと考えています。

販売数量の落ち込みをカバーするために高価格の商品を販売する

2000年代に入ってからはそこそこの品質の低価格の商品が人気になっていて、ユニクロ、ニトリなどの専門店の商品がよく売れています。専門店のそこそこの品質の商品がよく売れる理由は、低価格にもかかわらず満足が得られる品質があるからです。

商品が売れる、大量生産で品質が改良されて安くなる、さらに売れる、こうした好循環に入るので品質が上がって価格が下がるようになります。日本は長い間デフレが続いているとされていますが、お客さんの買い物の満足度は必ずしも低くはないはずです。

低価格の商品で順調に業績を伸ばして来た専門店ですが、規模の拡大が徐々に難しくなっていることは事実です。ここ数年で特に目に付くのが既存店の客数の減少で、業績が好調な専門店でも既存店の客数を伸ばすことが難しくなっています。

高齢化社会の進行による需要の縮小が大きな要因ですが、この傾向は今後も好転することなく固定化されることになります。客数が減れば販売数量も減ることになり、商品の売り方を変えなければ客数と販売数量が減った分だけ売上が減少してしまいます。

人口が減少する中でやらなければならないことの一つが、今までよりも高価格の商品を買ってもらうことです。こうした動きが顕著なのが子供向けの商品で、ランドセルや学習机は高品質化、高価格化が進んでいて、ランドセルは低価格から高価格まで価格帯が広がりました。

2000年代はランドセルも学習机も低価格商品が多かったのですが、近年は売り場も品揃えも縮小されてるとともに、高価格の商品が目立っています。少子化によって販売数量が減少することは確実ですから、売上を伸ばそうとすれば高価格の商品を販売することが不可欠です。

既存顧客にもっと商品を買ってもらうためにカテゴリを拡大する

高価格の商品を売ることは売上を増やす方法の一つですが、もう一つの方法は商品のカテゴリを拡大して、買上点数を増やすことです。高価格の商品を販売することよりも、新しい別のカテゴリの商品を買ってもらう方が簡単ではないかと思います。

現在業績が好調な企業、ドン・キホーテ、無印良品、ヨドバシカメラは、共通して幅広いカテゴリを扱っています。従来はカテゴリを絞って専門性を出すことが良いとされて来ましたが、高齢化社会の時代はカテゴリの拡大が不可欠だと言えます。

自店のことを気に入ってくれている既存顧客に対して、新しいカテゴリを販売することは最も成功する確率が高いやり方です。成功している小売業はお客さんを引き付けるプライベートブランドを持っており、プライベートブランドのカテゴリを拡大することで売上を伸ばしています。

無印良品は昔は低単価の雑貨を中心にした品揃えでしたが、最近は高単価の衣料品、家具、家電も販売するようになっています。ロイヤルティの高いお客さんはプライベートブランドを好むので、カテゴリの拡大もスムーズに行っているように見えます。

一つのお店で幅広いカテゴリの商品が買えることは、今の時代のお客さんのニーズにもマッチしています。若い世代は相変わらず忙しいですし、高齢者は買い物に出かける体力がなく、一つのお店で多くの商品を買いたいお客さんが増えています。

品質や価格の点で競合店よりも優れていなくても、買い物に時間を掛けたくないお客さんが買ってくれる可能性が出てきています。ドラッグストアの中には下着を販売しているお店がありますが、衣料品店でなくても下着を売ることができています。

実店舗とネットショップを統合することで販売機会を増やす

実店舗とネットショップを統合したオムニチャネルは、小売業の未来のスタイルだと考えられています。お客さんが買い物にスマートフォンなどのテクノロジーを活用する中で、小売業もお客さんに付いて行かなければ取り残されてしまいます。

ネットショップというと商品を販売する場所ですが、単に商品を販売して売上をあげる以外にも様々なメリットがあります。オムニチャネルはお客さんの変化に合わせて必要になっているものですが、小売業の側から見てもなくてはならないものです。

ネットショップは24時間営業していて、小売業にとっては実店舗を補完するデジタル店舗だと言えます。ネットショップを単独のチャンネルと見ると特に有り難いものでもないのですが、実店舗と連携させて考えると価値が出てきます。

例えば、ネットショップの商品に実店舗の在庫情報を載せれば、それだけで実店舗への導線になります。ネットショップで商品のことが気になり、そこで実店舗に在庫があることが分かれば、お客さんは商品を確かめに実店舗へやって来ます。

ネットショップで商品を注文してもらい、実店舗に受け取りに来てもらう販売方法も売上のアップに繋がります。実店舗の売り場は有限なためすべての商品を展示することができませんが、ネットショップでは可能なのでそれだけ売れるチャンスが増えます。

また、実店舗にネットショップで注文した商品を取りに来たお客さんが、その他の商品を買ってくれる可能性も十分にあります。品揃えが多い店舗でしかうまく機能しないとは思いますが、成功する企業は大きな成果を上げるのではないかと見ています。

販売機会を逃さないようにするために実店舗からの配達を始める

小売業にとってAmazonなどのネットショップは脅威ですが、ネットショップが提供している、実店舗にはない便利な買い物体験はお客さんの強い支持を得ています。ネットショップは24時間注文ができるため、せっかちなお客さん、忙しいお客さんはネットショップですぐ注文をします。

今すぐ注文して、いつ配達が来るということが決まれば、仮に納期が遅くなる場合でも、もう既に商品を手にしたような安心感があります。実店舗側がネットショップが持つ「買い物の利便性」に対して何らかの対策を行わなければ、お客さんはどんどんオンランショップの方へと流出して行くことになります。

ネットショップの買い物の利便性に実店舗が対抗する方法は、同じ品質の買い物体験を提供することです。Amazonの脅威が大きい家電量販店では実店舗からの当日配達を始めるお店が増えていて、Amazonに合わせる形で納期が早くなっています。

家電量販店には昔から配達サービスがありますが、昔のようにゆっくり配達をしていたのではお客さんを失ってしまいます。また、コンビニや総合スーパーも配達サービスに力を入れていて、実店舗からの配達は小売業全体に拡大すると考えています。

実店舗からの配達のために新しく人材や車両に投資をすることになれば、小売業にとっては新しい費用が発生することになります。お店の店員が配達する場合は人件費は固定費になりますから、配達1件当たりの客単価が高ければ高いほど、配達1件当たりの人件費が小さくなります。

ヤマダ電機やヨドバシカメラは生活用品や消耗品など家電以外の品揃えを強化して、注文あたりの客単価を高める工夫をしています。セブンイレブンの宅配は低単価の食品が中心になっていますが、オムニチャネルを強化することで宅配のカテゴリを拡大しようとしています。