実名制の飲食店口コミサイトのRettyが事業戦略を発表

実名制の飲食店口コミサイトのRettyが事業戦略を発表

実名制の飲食店口コミサイトのRettyが事業計画を発表していて、店舗向けCRM機能、外国への進出などを発表しています。飲食店口コミサイトではぐるなびと食べログが有名ですが、実名制を武器にしてRettyが存在感を強めようとしています。

Rettyの強みはポジティブなレビューが多いことで、クライアントである飲食店との関係がうまく行きやすいです。広告媒体として飲食店とお客さんをマッチングさせるだけでなく、飲食店のファン作りをサポートするような方向性も良さそうです。

ぐるなびと食べログの飲食店口コミサイト2強に挑戦するRetty

お客さんの外食への関心が高まり、飲食店口コミサイトがここ数年特に人気になっていて、ぐるなびと食べログのどちらかを使う人が多いです。ぐるなびは上場企業、食べログは上場企業である価格.comの中のサービスですが、どちらも近年業績を伸ばしています。

飲食店口コミサイトの売上は大きく2つの収益源からなり、飲食店からの広告費と、飲食店口コミサイト利用者に会員専用サービスを提供して、そこからもらう会員料金です。月額契約で安定した売上が計算できるため、飲食店口コミサイトはストック型ビジネスの強い基盤を持っています。

ぐるなびがサービスを開始したのは1996年、食べログがサービスを開始したのは2005年となっていて、ぐるなびには約20年の長い歴史があります。個人的な印象では、スマートフォンとソーシャルメディアが普及した2010年以降、飲食店口コミサイトの人気が加速した感じです。

お客さんはインターネットを通じて自分の近くにある、今まで知らなかった新しい飲食店を発見して、お店に出かけて食事を楽しみます。これを繰り返すうちに飲食店で食事をすることが習慣化されて、さらに飲食店口コミサイトを使うようになります。

飲食店口コミサイトはぐるなびと食べログの2強の状況ですが、最近、第3の存在として2010年に創業したRettyの話題が増えています。ぐるなびと食べログが匿名の口コミサイトであるのに対して、Rettyの口コミは実名である点に違いがあります。

事業戦略発表会では国内最王手サービス(食べログ)の口コミを越えたと発表したそうですが、その後に食べログから反論されています。2強にはない実名制を武器にして、ストック型ビジネスでうまみのある飲食店口コミサイトで存在感を強めようとしています。

Rettyの強みは実名制からもたらされるポジティブなレビュー

匿名で書くレビューと実名で書くレビューの違いは、実名のレビューの方がポジティブなレビューが多くなる傾向にあることです。実名で悪いレビューを書くと自分のイメージも悪くなってしまうため、悪いことより良いことをたくさん書こうとするのは理解できる行動です。

レビューを読む側の立場としても、匿名のレビューよりも実名のレビューの方がなんとなく信頼できるものとして扱われます。また、レビュアー同士のコミュニケーションにおいても、匿名よりも実名の方が活発に行われ、コミュニティーが活性化されます。

ぐるなびと食べログでは匿名でレビューを投稿できるので、ネガティブなレビューが付きやすいという不安が飲食店にはあります。実名制のRettyでは相対的にネガティブなレビューが付きにくいので、ネガティブなレビューを恐れる飲食店としてはRettyの方が使いやすいです。

飲食店にとってはネガティブなレビューはとにかく不要で、良いレビューが少なくてもいいのでネガティブなレビューは不要です。基本的にはレビュー自体がもらいにくいものですが、悪いレビューがぽつんと1個だけ付いてるようなお店を見ると気の毒です。

良いレビューばかり付くと意図的なステマのようにも見えますが、ステマとみなされるかどうかはサイト全体の信頼性に掛かっています。お客さんは自分のニーズを満たす最適な商品を知りたいのであって、悪い商品がどれなのかを知る必要はありません。

Rettyのレビュワーがお客さんから信頼されることが大切で、信頼できる人物からの確かな情報が求められています。実名制はぐるなびと食べログにはないRettyの強みですが、実名制がもたらす信頼を好むお客さんがどれくらいいるかははっきりしないところでもあります。

Rettyは飲食店がお客さんとの関係を強化するCRMを用意

Rettyは事業戦略発表会の中で店舗向けサービスを発表していて、飲食店とお客さんが繋がることができるCRM機能を提供予定とのことです。Rettyのレビュワーは実名制ですから、匿名性と比較して訪問者にレビュワーを覚えてもらいやすく、訪問者に与える影響も大きいです。

飲食店の立場からすると、自店に好意的なレビューを書いた人をフォローしている人は、来店する可能性が高い見込み客あると考えることができます。こうした自店に好意的な印象を持っている人にアプローチして、特別クーポンやサービスを提供することができれば来店してもらえます。

飲食店とお客さんが強く繋がるCRMのサービスは、ぐるなびと食べログは提供することが難しいかもしれません。飲食店口コミサイトのビジネスでは飲食店とお店が強く繋がることなく、弱く繋がり、たくさんの飲食店とお客さんが繋がる方が好ましいからです。

新しい飲食店が広告を出し、お客さんが新しい飲食店に出かけて新しいレビューを書くことで、飲食店口コミサイトは活性化されます。飲食店とお客さんが強く繋がるようになれば、お客さんが利用する飲食店の数が減り、新規のレビューも減ることになります。

Rettyもぐるなびと食べログと同じように広告ビジネスですから、新しいお店、新しいレビューを増やしたいです。しかし、ぐるなびと食べログと同じことをやってもダメなので、ライバルがやりそうにないCRMをやってみるのではないかと思います。

Rettyでは自社で食文化を紹介するコンテンツを作っていて、レビューも実名制ですから、数ではなく質で勝負できる土壌があります。ぐるなびと食べログは今から実名制に転換することが難しいだけに、実名制はRettyの差別化の武器になります。

外国人観光客の支持を得るのはどの飲食店口コミサイトになるか

日本への外国人観光客が急増していて、小売業、飲食業にとってはありがたいビジネスチャンスが到来しています。日本への外国人観光客の8-9割は中国、韓国、台湾、香港、タイなどアジアの国々ですが、それ以外の地域からの観光客も数字は伸びています。

今のところは中国人観光客の爆買いが話題の中心になっていますが、日本の飲食店への外国人観光客の関心も強いです。近い将来、ものを買うことへの支出が減少して、飲食や各種サービスなどの体験への支出が増えると予想されています。

日本に来ている外国人観光客のソーシャルメディアをたまに見るのですが、飲食店の情報をどうやって探しているのか分かりません。ぐるなび、食べログは外国語バージョンのホームページを用意していて、ぐるなびは電話(英語)で飲食店を予約できます。

外国人向けに訪日前に飲食店を予約してもらう新サイトも多数あって、どこがよく利用されているのか見当も付きません。外国の口コミサイトのYelpは数年前に日本にやって来ましたが、外国人にとってはこちらが使いやすいかもしれません。

Rettyは実名を強みにしているサービスですが、日本語で書かれている日本人のレビューは外国人相手には役に立たちません。星の数での評価は外国人観光客も直感的に理解できますが、すべての口コミサイトにある機能なので大きな差別化にはなりません。

食べ物の味がどうこうというよりも、予約を含めた飲食体験全体を通じて、外国人観光客がストレスを感じなければOKだと思います。飲食店が外国人観光客を受け入れるためのサポートも必要になりますが、この点は昔から対面で飲食店サポートをしているぐるなびが強いです。