食品スーパーはなぜ惣菜の強化に積極的に取り組んでいるのか

食品スーパーはなぜお惣菜の強化に積極的に取り組んでいるのか

お客さんの食品に対する新しいニーズが登場していて、食品スーパー各社が惣菜の強化に取り組んでいるとの記事があります。惣菜の売上が伸びる理由は、女性の社会進出、共働き世帯の増加、単身者の増加、高齢化社会の進行など、ポジティブなものがたくさんあります。

また、コンビニで日々の食品を買うお客さんも増えており、食品スーパーの立場ではコンビニへの流出を防ぎたいです。惣菜はお客さんへのアピールが強く、粗利益率も高いですから、お客さんの食品への関心が高まっている現在の状況は大きなチャンスです。

社会環境の変化によって食品に対して新しいニーズが生まれる

高齢化社会の進行や人口の減少で小売業でも苦戦するカテゴリが多いのですが、その中でも食品は好調なカテゴリの一つです。コンビニの業績は好調ですし、食品スーパーの業績も同じく好調で、食品全体へのお客さんの関心が高まり支出金額が増えています。

ドラッグストアも業績が好調なお店の一つですが、食品の売上が好調でお客さんを集客する武器になっています。これまで食品を扱っていなかった小売業にとっても食品は魅力的な商品で、これから新しく食品を取り扱うお店も増えて来そうです。

お客さんの惣菜への需要がなぜ高まっているかですが、共働き世帯の増加、単身世帯の増加など社会環境の変化と関係しています。忙しい主婦に向けた惣菜などの中食市場は昔から注目されていましたが、ここ数年でいよいよブレイクし始めた感じです。

仕事と子育てに忙しい主婦は昔から食品スーパーの重要なターゲットになっていましたが、これに加えて増加傾向にある単身世帯、高齢者世帯も新しいターゲットになっています。食品に対するお客さんの多様なニーズが生まれたことで、惣菜を含めて食品を販売する小売業が全体的に活性化されています。

お客さんの食品への関心が高まっていることの別の理由として、インターネットを使う人が増えたことが関係しています。ぐるなびや食べログなどのグルメサイトは利用者が増えており、外食を楽しんでいるグルメな人が増えていることを意味しています。

また、メーカーやコンビニの新商品の情報はすぐにニュースやソーシャルメディアで共有され、多くの人が新商品の情報を目にするようになっています。ソーシャルメディアの普及によって、普段の生活の中で食べ物の情報に接することが増えており、このことが食品や惣菜の売上の増加に貢献しています。

粗利益率の高い惣菜は昔から食品スーパーの重要部門だった

惣菜に力を入れている食品スーパーが増えているのですが、惣菜は昔から食品スーパーにとって重要なカテゴリでした。ナショナルブランドの商品はよく売れるものの、競合のお店でも買えますから、価格競争になり高い利益率が期待できません。

一方、惣菜は食品スーパーが独自に調理するオリジナル商品であるため、比較的高い価格で販売することが可能で利益率も高いです。生鮮食品と比較しても惣菜は目に見えて手間がかかっているため、お客さんはお金を払うことに対して抵抗が小さいです。

お客さんが食品を買うにあたって重要視することは「近さ」で、多くのお客さんは何よりもまず近いお店で買い物をしたいです。生鮮食品の新鮮さ、ナショナルブランドの安さなどで集客をしますが、お客さんを遠方から引き寄せることは簡単ではありません。

生鮮食品の新鮮さをアピールするお店も多いのですが、食品のプロではないお客さんが生鮮食品の質を見分けることは難しいです。そうした中で、惣菜のクオリティはお店を差別化するための一つの武器で、美味しい惣菜は他店に先駆けて来店してもらえる強みになります。

食品スーパーで買い物をしながら考えることがあるのですが、食品スーパー全体の質とお総菜部門の質は強い関係にあるように感じます。店内が明るくきれいでお客さんで賑わっている食品スーパーは、お総菜部門の売り場も大きくきれいなお店が多いです。

お総菜部門が粗利益率が高く儲かる部門であることは明らかですから、力を入れていないお店はやる気がないということです。私の近辺の食品スーパーは全体的にお総菜部門でやる気が感じられないのですが、やる気のある店が1店舗だけありお客さんが多いです。

コンビニの食品の質が高まり食品スーパーと競合するようになる

コンビニの惣菜や食品がよく売れるようになっていて、コンビニの大手3社の業績は好調が続いています。おにぎり、弁当、パン、惣菜、ホットスナックなど、コンビニは長い間食品を開発・販売しながら質を高めて、お客さんの信頼を獲得して来ました。

これまでもお客さんはコンビニで食品を買っていたのですが、コンビニのプライベートブランドの拡大に合わせて、さらにコンビニへの支持が強まっています。プライベートブランドの訴求力は強いですから、今後もコンビニの業績は安定するのではないかと見ています。

コンビニで食品を買うお客さんが増えているのですが、これは商品の質や価格だけではなく、立地の良さが大きいです。これまでは若者、単身者、主婦、高齢者、お客さんの生活スタイルに関係なく、食品スーパーで食品を買うことが多かったです。

ここから、買い物量の少ない単身者や高齢者が食品スーパーで買い物をするのが大変になり、近所のコンビニで買うようになったと考えています。コンビニの食品の質が高まり、価格もほどほどになったことで、以前ほどの割高感がなくなっています。

お客さんの食品への関心が高まっていて、コンビニも食品スーパーも両方ともその恩恵を受けて業績が好調です。しかし、食品スーパーにとってはコンビニの拡大は引き続き脅威ですから、お客さんがコンビニへ流出しないように対応して行くことになります。

コンビニよりもさらに高品質の商品を提供しようとしていますが、立地でコンビニを選んでいるお客さんにはあまり効果がないかもしれません。お客さんがコンビニで食品を買うことが習慣化しないように、遠くまで足を運んでもらうための価値が必要になります。

惣菜はお客さんを実店舗に引き付けるための重要な商品

小売業にとってはネットショップが脅威になりますが、食品スーパーにとってもネットスーパーは脅威です。今のところ食品をネットで買う人は多くはありませんが、インターネットなどのメディアでネットスーパーが紹介されることも増えています。

どこででも買えるナショナルブランドの商品については、ネットスーパーの規模が拡大して価格競争力を持つようになるはずです。食品スーパーは実店舗ならではの強みを作り出して、ネットスーパーへお客さんが流出することを防ぎたいところです。

このお店でしか買えない美味しい惣菜があることは、お客さんが実店舗で買い物をする動機の一つになります。「新鮮な食品」というのは食品スーパーの売り文句の一つですが、ネット上でも新鮮さを売りにするネットショップが増えて来ています。

食品スーパーが持っている商品の中では、対ネットスーパーの点では惣菜が一番役に立つのではないかと考えています。お客さんが明確に価値を感じることができる商品であり、他のお店にもまったく同じ商品がないため単純に比較することができません。

食品スーパーがお客さんに提供できる新しい買い物スタイルとして、ネットショッピングの店頭受け取りが使えるのではないかと思います。お総菜を買っているお客さんの中には、調理が面倒くさい若い単身者、調理が大変な高齢の単身者が含まれています。

こうしたお客さんは買い物にもエネルギーを使いたくありませんから、自社のネットショップで生活用品や日用品を販売できます。惣菜を買い物するときに店頭でネットショッピングの商品を渡せば、お客さんに便利に買い物をしてもらえます。