郊外の店舗の立地環境が悪くなり都市部への回帰の動きがある

郊外の店舗の立地環境が悪くなり都市部への回帰の動きがある

ニュースを読んでいても自分で買い物をしていても感じるのですが、郊外の店舗の集客力が弱くなっているような気がしています。2000年代は自動車で郊外のお店に行くことは当然のことでしたが、2015年の今は郊外のお店が遠いと感じることが多いです。

ニトリは長い間郊外で成功を収めてきた専門店ですが、都市部の商業施設内に新しい業態のお店を増やそうとしています。ネットショップの時代では、お客さんと物理的に離れていることは大きな弱点で、郊外から都市部へと買い物場所が移動しそうです。

郊外の専門店に自動車で買い物に行くのは当然のことだった

日本チェーンストア協会のデータによると、総合スーパーの売上が最大だったのは1997年となっています。この時期あたりから各カテゴリの専門店が認知されるようになり、お客さんが総合スーパーから専門店へと離脱し始めたと考えられます。

2000年代に入ってから郊外の専門店が小売業では主流になり、家電量販店、ホームセンターなどの大型のお店が増えました。総合スーパーも郊外への出店を行って来ましたが、食品以外のカテゴリでは専門店の商品に勝つことができず売上を減らしています。

郊外にお店を出すのは小売業側の都合で、都市部と比較すると賃料が安い分だけ高い利益率を期待することができます。一方、お客さんが住んでいる住宅街からは離れることになるため、お客さんをお店に集客することが難しくなります。

ただ、これは2015年の今になって考えることで、当時は郊外にお店があるからといって集客を心配する人はいませんでした。家電量販店は上位から下位までみんな例外なく儲かっていましたし、郊外にお店を作ることのメリットばかりが語られていました。

お客さんを集客できていたのは、郊外の専門店がお客さんに対して付加価値を提供できていたのだと思います。郊外の専門店が品質でも価格でもベストであったため、お客さんは郊外の専門店に買い物に行くことに負担を感じませんでした。

2000年代は商品の価格が下落する中で品質が高まり、景気の低迷もあって低価格でそこそこの品質の商品にお得感を感じていました。今と比べて日本全体の平均年齢も若かったことになりますから、体力があるお客さんが多かったというのもあります。

ネットショップの登場や社会環境の変化で郊外店舗が遠くなる

郊外専門店に影響を与えているのがネットショップで、ここ数年で存在感が大きくなっているように感じます。Amazonの主導によって書籍と家電がネットショップで売れるようになっていますが、これがベストな買い物方法だと考える人も増えています。

書籍と家電はどこのお店で買っても同じ品質ですから、価格、サービス、買い物のしやすさなどでお店を選びます。現在の社会環境では特に買い物のしやすさは重要で、ネットショップ登場以降はさらにその重要性が高まっていると考えています。

もう一つ郊外の専門店に影響を与えているのは、社会環境の変化によるお客さんの買い物範囲の縮小です。高齢化社会が進めば体力が落ちてきますし、自動車を運転しない人も増えるので、遠くに買い物に出かけることが難しくなります。

若者の自動車離れも見込まれていますから、体力のある若い人でも近くで買い物を済まそうとする人が増えて来ることになります。移動販売が登場したり、コンビニの業績が好調なことを見ても、お客さんの買い物範囲が狭くなっていることを感じます。

2000年代は郊外にお客さんがやって来ることが当然だったのですが、2015年の現在では当然のことではありません。例えば、家電はネットショップの価格競争力が強く、価格の高い郊外の家電量販店に買い物に出かける意義が薄れています。

ネットショップの便利な買い物に慣れてしまうと、時間と体力を使って郊外に出かけることが億劫になります。郊外の買い物では複数のお店を回ることが多いため、1人のお客さんが郊外に買い物に行かなくなれば多くのお店で影響が出ます。

家具専門店のニトリが都心部へ出店したことは象徴的な動き

家具・インテリアを販売しているニトリは好業績の専門店ですが、郊外に似たようなフォーマットの店舗をたくさん作ることで業績を伸ばして来ました。ライバルと呼べるほどの企業が他になく、家具、インテリア業界においては大きな利益を稼ぎ出しています。

郊外立地で業績を伸ばして来たニトリですが、最近は都市部の商業施設内に出店する新業態のお店の数を増やしています。郊外で店舗を作るコストが高くなっていることが理由とのことですが、コストアップに見合うだけの売上が稼ぎにくくなっていると言えます。

家具、インテリアの商品としての特徴を考えてみると、価格は高く、買い物頻度は低く、お客さんにとって買い物が難しい商品です。お客さんは買い物で失敗をしたくありませんから、遠くのお店に時間を掛けて出かけることも負担ではありません。

また、ニトリの商品は価格と品質で差別化されており、遠方からお客さんを呼び寄せることができる商品です。集客力のあるニトリが都市部に新しい業態を作るということで、これから郊外の立地は衰退して行くことになるのではないかと思っています。

ニトリの商品は価格でも品質でも競争力がありますが、ネットショップの商品と比較されるのは嫌なことです。実質的には日本全国の商品と比較されるわけですから、その中にニトリの商品よりも魅力的に見える商品がある可能性は高いです。

遠くにあるニトリのお店に出かけるのは大変だから、もうネットショップで買うかと考えるお客さんも出てきます。お客さんが簡単に立ち寄ることができる都市部にお店を増やすことで、遠方にあるイメージを軽減する効果が期待できます。

郊外の店舗と比較すると都市部の店舗の方が将来の見通しが良い

書籍や家電はAmazonの影響が大きいカテゴリですが、駅前にある大型書店、大型家電量販店はお客さんが多く賑わっています。遠方にある郊外のお店には休日しか行くことができませんが、アクセスの良い駅前のお店は平日でも立ち寄りやすいです。

書籍の場合は実店舗でもネットショップでも価格は一緒ですから、アクセスの良い立地に在庫があれば買ってもらえます。家電の場合もすぐに手に入ることはお客さんにとっては好ましく、持って帰れる商品は少々価格で負けていても買ってもらえます。

外国人観光客の増加は小売業にとって大きなチャンスになっていて、立地の良い都市部の店舗では売上に良い影響が出ています。一方、郊外の店舗では外国人観光客の影響を聞きませんから、都市部の店舗と郊外の店舗で売上に差が付くことになります。

家電ではヤマダ電機やコジマ電気は郊外の店舗が多い一方、ビックカメラやヨドバシカメラは駅前に大型店を持っています。外国人観光客を取り込んで仕入れを伸ばすことができれば、日本人のお客さんに提供する商品の価格にも差が出るようになります。

高齢化社会の進行、ネットショップの充実を考えると、お客さんが遠くにある郊外のお店にやって来なくなることは決定的で、郊外立地は衰退して行くことになると思っています。そうすると、アクセスの良い都市部に注目が集まることになりますが、賃料が相対的に高いので利益を出すことが難しくなります。

都市部の小さな店舗で大きな売上を得るためには、実店舗とネットショップを統合することが不可欠になりそうです。売り場面積が小さいことや賃料が高いことは困難ではありますが、テクノロジーを活用することで、新しい小売業の形を生み出すかもしれません。