ファミリーマートが総合スーパーのユニーと経営統合のための協議

ファミリーマートが総合スーパーのユニーと経営統合のための協議

ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスの経営統合のニュースが出ていて、小売業ではかなりのビッグニュースになっています。ファミリーマートの狙いはユニーグループ・ホールディングスのサークルKサンクスを取り込んで、コンビニの規模を拡大することです。

総合スーパーと統合することでファミリーマートの品揃えは増えますが、これはオムニチャネルの強化にも貢献します。ただ、商品の質やイメージの改善は短期間では難しく、お客さんが持つセブンイレブンの高品質のイメージを崩すことは難しそうです。

アピタ・ピアゴ、サークルKサンクスともに業績が伸び悩む

総合スーパーの業績の悪化が固定化されていて、巨大企業のイオンやイトーヨーカドーでも挽回が難しいです。ユニーグループ・ホールディングスも10年くらい前は好調な小売業であったような記憶があるのですが、成長が頭打ちになりつつあります。

総合スーパーではゆめタウンを運営するイズミが好調ですが、総合スーパーの中でも比較的新しいからだと考えています。歴史が古い企業ほど店舗は老朽化してしまい、商圏のお客さんは高齢化してしまい、以前のような収益を上げることが不可能になっています。

コンビニのサークルKサンクスはユニーグループ・ホールディングスのグループ会社ですが、総合スーパーのアピタ・ピアゴと同様に成長が鈍化しています。コンビニの成長に不可欠なものが投資で、テクノロジーへの投資、新商品開発への投資が重要だと言われ続けて来ました。

セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの上位3社が投資をする中で、余裕がない4番手以降との差が拡大しています。ローソン、ファミリーマートが下位チェーンの買収を行っていますが、こうした動きは数年前から予想されていたことでした。

ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスの経営統合は、ファミリーマートがサークルKサンクスを取り込み、店舗数を増やすためのものだとされています。ユニーグループ・ホールディングスは総合スーパーもコンビニも停滞しているだけに、交渉においては不利に立たされているかもしれません。

総合スーパーは将来の見通しが良くないですから、ファミリーマートはコンビニだけが欲しいのではないでしょうか。コンビニの経営統合によるメリットが述べられているのですが、総合スーパーについては特にこれといった統合効果はないようです。

プライベートブランドの販売では規模が大きいほど儲かる

小売業ではプライベートブランドの拡大が共通の戦略になっていて、様々なカテゴリでプライベートブランドが増えています。プライベートブランドは利益率が高いので売れれば儲かるのですが、一方、生産した商品が売れ残ってしまうと損失が拡大するリスクがあります。

昔はプライベートブランドの認知度もあまりなかったのですが、現在は認知度も高まり、お店のブランド価値を高めています。コンビニでは優れた商品開発力、在庫管理力を背景にプライベートブランドの拡大が続いていて、セブンプレミアム、ローソンセレクト、ファミリーマートコレクションの商品が増えています。

プライベートブランドは作れば作るほど商品1個当たりの製造原価が下がって安くなるので、コンビニは何とかして規模を拡大したいです。なぜ規模が大きいほど儲かるかですが、これは1人前のカレーを作ることと、5人前のカレーを作ることを比較すると分かりやすいです。

ガスなどの光熱費、調理する人の人件費は、5人前を作るからといって1人前を作るときの5倍になるわけではありません。また、材料も安く調達できたり、効率よく使用できるので5倍にはならず、結果的に1人前の単価は数量が多くなるほど安くなります。

コンビニはプライベートブランドの規模を拡大するために、積極的に出店をして店舗の数を増やして来ました。しかし、時間経過とともに出店の余地はなくなって来ますから、他の企業を買収する、店舗数を増やすのとは別のやり方で規模を拡大しようとします。

ファミリーマートはサークルKサンクスを取り込んでファミリーマートにすることで、ファミリーマートコレクションを売るお店を増やすことができます。ローソンも同様に小規模のコンビニチェーンを買収していますが、これもローソンセレクトの規模を拡大するためのものです。

お客さんはセブンイレブンは他社よりも美味しいと認識している

私はコンビニを20年くらい利用していますが、昔からセブンイレブンが美味しいと考えている人は周辺に一定数いました。ただ、どのチェーンも似たような商品を売っていますから、どのコンビニも差がないと考える人の方が多かったです。

最近は各コンビニの味の差がお客さんに認識されるようになり、そのことが業績の差にも現れるようになっています。セブンイレブンはローソンとファミリーマートを引き離していますが、これはお客さんがセブンイレブンの商品を高く評価しているからです。

セブンイレブンがコンビニ業界のリーダーで、ローソンやファミリーマートが続いているというイメージが固定化しています。ローソンはロールケーキ、ファミリーマートはフライドチキン、両社ともにヒット商品を生み出してお客さんの注目を集めました。

しかし、他のチェーンも似たような商品を作るので、結局はまた固定化された元のイメージに戻ってしまいます。ローソンはナチュラルローソン、ローソンストア100などの業態を開発して、セブンイレブンと差別化をする工夫をしています。

ファミリーマートはサークルKサンクスを取り込むことによって、プライベートブランドの規模を拡大することができます。規模が拡大することによってプライベートブランドの製造原価が小さくなりますから、ファミリーマートの粗利益率は高まると思います。

一方、規模が拡大しても味やイメージが短期間で改善することは起こりにくいので、この点は依然としてセブンイレブンとの差があります。お客さんが持つ「セブンイレブンは美味しい」というイメージは強固で、何とかしてこのイメージを壊したいところです。

オムニチャネルの時代は品揃えは多ければ多いほど都合が良い

コンビニは好立地にたくさん店舗を抱えているため、ネットショップの受け取り場所として重要な役割を果たします。セブンイレブンは自社グループで小売企業を抱えているため、これらを統合したオムニチャネルを作ろうとしています。

ローソンは自社グループに小売企業はありませんが、Amazonで注文した商品を受け取れるようになっています。セブンイレブンとローソンを比較した場合、自社グループで商品を多数用意できるセブンイレブンの方が大きな利益を得そうに見えます。

ファミリーマートもローソンと同じく自社商品がなかったのですが、ユニーグループ・ホールディングスと統合することで品揃えが強化されます。総合スーパーは低収益に陥って苦戦が続いていますが、問題になっているのは販売管理費の大きさで、取り扱っている商品の品質が悪いというわけではありません。

若いお客さんはあまり総合スーパーで買い物をしないかもしれませんが、中年や高齢者のお客さんにとっては総合スーパーは長く使って来たお店です。ユニーグループ・ホールディングスの商品をネットショップで注文をして、ファミリーマートで受け取りたいお客さんはいます。

コンビニ各社にとってオムニチャネルは重要な戦略で、オムニチャネルの品揃えを強化することでライバルに差を付けることができます。買い物範囲の狭い高齢者が増えて、自動車を持たない若者が増えれば、ネットショップで買い物をしてコンビニで受け取るニーズが拡大します。

ネットショップでたくさんの商品を提供することができれば、お客さんはさらに便利になりコンビニの売上も増えます。ネットショップの客単価が高くなれば、コンビニから高齢者の自宅まで宅配を行うこともできるようになるのではないかと思います。