飲食チェーン店は客数の減少が避けられず客単価アップを目指す

飲食チェーン店は客数の減少が避けられず客単価アップを目指す

飲食チェーン店の決算書を見ていると、客数が減少する中で、客単価をアップさせて売上を伸ばしている企業が多くなっています。中食の充実、家飲みの増加、若者の酒離れなど、お客さんの飲食ニーズが多様化して、飲食チェーン店は対応が難しくなっています。

お店を何度も利用してくれるリピーターのお客さんを大事にして、美味しい高付加価値のメニュー、注文しやすい低価格のメニュー、2つの組み合わせが成功の鍵になりそうです。通販、テイクアウト、宅配の新しい販路も登場しましたが、これはチャンスだと言えますが、うまく対応できなければピンチでもあります。

客数が減少するものの客単価アップで売上を確保する企業が増える

過去20年間の外食産業のデータがあるのですが、外食産業全体が比較的堅調に推移して来たことが分かります。2010年くらいから客数が減少する傾向が一部で見られますが、これはファーストフードと居酒屋でお客さん離れが起きているからです。

ファーストフードについてはマクドナルドの影響が大きいため、ファーストフード全体で何か変化が起きているというわけではなさそうです。居酒屋の場合は2008年以降はずっと客数の減少が続いているため、多くの居酒屋でお客さんのニーズを満たせなくなっていると見ることができます。

最近、小売業と飲食業の決算発表を見ていると、既存店の客数が減少している企業が徐々に増えて来ているます。一般的には既存店の客数は時間経過とともに減少しますから、何らかの理由で新規出店が停滞すれば、客数の減少を補えなくなります。

客数が減ると客単価が上がるケースが多いですが、これは低単価のお客さんが去ってリピーターの割合が増えるからで、ポジティブなものではありません。客数の減少を最小限に抑えつつ、その中で客単価を伸ばして、売上前年比100を超えるというのが最良のシナリオです。

小売業や飲食業で客数減の企業が増えるのは、日本全体で固定化されるようになる競争環境ではないかと考えています。高齢者は買い物や飲食をあまりしませんから、日本の人口に占める高齢者の割合が増えるほど客数が減ることになります。

一方、若者の数は減少する上に、消費活動に興味がない人も増えていますから、客数を増やす推進力は弱いです。人口が減少していく中でお客さんの奪い合う消耗戦が激しくなり、小売業でも飲食業でも低収益の企業が増えることになります。

中食の充実や家飲みの拡大などお客さんの飲食は多様化している

飲食チェーン店の客数を減らす要因として、コンビニや食品スーパーの商品、惣菜が好調なことがあげられます。コンビニはプライベートブランドの品質が認知されるようになり、食品スーパーでは惣菜コーナーを拡大するお店が増えています。

コンビニや食品スーパーの商品、惣菜のクオリティが高くなって来れば、飲食店の料理に対するお客さんの目も厳しくなります。飲食チェーン店のお客さんがコンビニや食品スーパーに流出することは、今までは想定していなかった動きです。

お客さんのお酒の飲み方も昔と比べて変化していて、お酒を出している飲食店、中でも居酒屋では売り上げの減少が続いています。居酒屋の客数減はもう7年連続となっていて固定化されていますが、大人数でワイワイ飲むニーズが縮小していることになります。

10人や20人の大勢でお酒を飲むのではなく、気が合う仲間3,4人で自宅で飲む「家飲み」を好む人が増えています。また、クックパッドの登場で料理が好きな人が増えていますが、家飲みでもみんなで料理をすることが新しい楽しみになっています。

お客さんは飲食店口コミサイトを使ってこれまで知らなかったお店を知るようになり、飲食チェーン店の利用頻度が減りました。これに加えてお客さんの飲食が多様化したことにより、飲食チェーン店の客数を減らす要因が増えたことになります。

それでもなお店を利用してくれているお客さんは、飲食チェーン店にとっては「熱狂的なファン」と言ってよい重要な存在です。高齢化社会が進んでいく中ではリピーターのお客さんは貴重ですから、リピーターのお客さんが離脱しないように守って行きたいです。

客単価アップを実現するにはお客さんが実感できる価値が必要

客単価アップで業績を回復した飲食チェーン店として、ファミリーレストランのロイヤルホストがよく記事になります。ロイヤルホストはセントラルキッチンで調理するメニューを減らし、店内でシェフが調理する高品質のメニューを増やす戦略を採っています。

また、お客さんが注文がしやすいようにサラダやでデザートの低価格のメニューを増やし、注文点数を増やす工夫もしています。質の高い高価格メニューを注文してもらい、合わせて低価格メニューの注文も増やすことで、客単価アップを実現しています。

280円均一の焼き鳥チェーンの鳥貴族は業績が好調な企業ですが、こちらの成功パターンもロイヤルホストに似ています。お客さんは鳥貴族の280円の焼き鳥にお得感を感じており、低価格のお店でありながらも、どちらかと言えば品質が良いイメージがあります。

お客さんに価値を感じてもらえる焼き鳥でお客さんを集めて、280円という注文がしやすい価格のサイドメニューを充実させることで注文点数を増やしています。鳥貴族はメニューが低価格なので儲かっていないようにも見えますが、経常利益率は5%以上を維持しています。

ロイヤルホストや鳥貴族がやっているやり方が、飲食チェーン店が客単価を高めるベストな方法ではないかと思います。お客さんに何度も来店してもらうためには、「これが食べたい!」という、お客さんが大きな価値を実感できる主力商品が必要です。

しかし、主力商品がいかに素晴らしいとしても、それだけでお客さんを満足させ、客単価を高めるには限界があります。主力商品と相性が良い注文がしやすい低価格のメニューを増やすことで、お客さんに美味しさとお得感の両方を感じてもらうことができます。

通販・テイクアウト・宅配など売上を底上げする新しい機会

高齢化社会の進行によって人口が減少する中で、飲食チェーン店はどうやって販売管理費を賄うかが重要になります。飲食店では来店する客数を想定して設備や人員を配置していますが、お客さんが減少すれば販売管理費の負担が重くなります。

マクドナルドはお客さんが激減していますが、光熱費を減らしたり店員を減らしたりすれば、ますますお客さんが減ってしまいます。特に古いお店ほど現在の社会環境に合わなくなっており、古いお店をたくさん抱える飲食チェーン店は対応が難しいです。

インターネットやスマートフォンが普及したことによって、飲食チェーン店には新しい販路が登場しています。ネットショップによる通販、テイクアウト、宅配サービスは売上を増やす新たなチャンスで、積極的に取り組んでいる飲食チェーン店もあります。

新しい販路が増えたことはチャンスであると同時に、対応しなければ売上を失ってしまうピンチであるとも言えます。お客さんは自分が使いやすい方法で飲食店を利用しますから、飲食チェーン店は様々な販路を用意しなければ取りこぼしてしまいます。

お客さんとの関係を維持するという点で、ネットショップで販売できる商品があった方が良いのではないかと思います。お客さんと飲食チェーン店の関係は、自宅の近くにある、会社の近くにある、よく利用する駅にあるというようなものです。

したがって、お客さんの活動エリアが変わってしまえば、飲食チェーン店との関係もそこで終わってしまいます。ネットショップで販売する商品を用意できれば、お客さんとの距離が物理的に離れた後も注文がもらえる可能性を残すことができます。