好調な業績が続いているドン・キホーテは時代にマッチしている

好調な業績が続いているドン・キホーテは時代にマッチしている

ドン・キホーテの好調な決算発表がありますが、ドン・キホーテは今の時代にマッチした商品・サービスを提供しています。小売業は人口が減少する中でカテゴリの拡大が必要になっていますが、ドン・キホーテは昔から豊富なカテゴリを扱っています。

外国人観光客の増加は小売業にとってチャンスですが、ドン・キホーテはしっかりと取り込んで売上を伸ばしています。「驚安堂」という名前の大型のコンビニのような新業態を開発していますが、このコンセプトもこれからの時代に必要とされているものです。

宝探しをするというコンセプトで熱狂的なファンを獲得する

ドン・キホーテはここ数年間、好調な業績を維持していて、現在のところ最も時代にマッチしている小売業だと考えています。ドン・キホーテのホームページを見てみると、1998年の時点では全国に10店舗しかなかったのですが、2013年には200店舗となっており、2000年代に入ってから一気に店舗数を増やしています。

2000年代は低価格の商品がよく売れた時代でもありますから、ディスカウントストアであるドン・キホーテの業績が伸びるのは順当です。小売業のニュースを2000年くらいからチェックしていますが、以前はそれほど注目されている企業ではありませんでした。

私が初めてドン・キホーテのことを知ったのは2000年くらいで、テレビで芸能人がよく話題にしていました。面白い雑貨を販売しているお店、深夜まで営業しているお店、地元のヤンキーのお客さんが多いお店という感じの紹介でした。

ドン・キホーテには高級なイメージはないのですが、高級ブランド品の販売を始めたことは小売業にとっては画期的なことでした。ドン・キホーテの高級ブランド品の販売には当時は否定的な意見が多かったのですが、結果的には成功を収めています。

小売業では商品が探しやすいほど売上が伸びると考えることが一般的で、多くの小売業では商品が探しやすいように綺麗に見やすく陳列しています。一方、ドン・キホーテは圧縮陳列と呼ばれる方法で商品を山積みにしていて、小売業の常識からすると商品が探しにくいです。

私は商品が探しにくいのが嫌でドン・キホーテにあまり行かないのですが、商品を探しにくくする理由は、お客さんに宝探しをするような体験を提供するためだとのことです。このコンセプトがお客さんに支持され、ドン・キホーテは熱狂的なファンを獲得することに成功しています。

お客さんに様々なカテゴリを販売することで客単価を伸ばす

ドン・キホーテが成長を続ける理由ですが、多くのカテゴリをうまく販売することができたからだと考えています。小売業では特定のカテゴリに特化するほどに専門性が高まり商品が売れるとされていて、カテゴリの拡大に消極的な企業が多かったです。

品揃えを拡大しようとする小売業が少ない中で、ドン・キホーテは品揃えを積極的に拡大することでお客さんの支持を得ることができました。現在、小売業にとって新しいカテゴリの拡大が不可欠になっていますが、早くからカテゴリの拡大に取り掛かって来たドン・キホーテは優位なポジションを得ています。

ドン・キホーテは珍しい、他のお店にない雑貨を販売するお店でしたが、今では食品、日用品、衣料品、家電、家具などの生活用品も買えるようになっています。ドン・キホーテで買い物をすることが好きなお客さんは、買えるものは何でもまとめて買おうとするため客単価が上がります。

ドン・キホーテの個別の商品がお客さんに支持されているというよりは、全体的な買い物体験が支持されているのだと思います。ドン・キホーテはカテゴリを拡大するほどに客単価が上がるので、売り場の販売効率が高まり、既存店の売上が伸びることになります。

ドン・キホーテはmajicaという名前のプリペイドカードを導入していますが、プリペイドカードのポイント付与率の条件に注目です。年間50万円の入金でポイント2%、年間100万円の入金でポイント3%となっており、想定している年間購入額が大きいです。

お客さんを囲い込んで様々なカテゴリを購入してもらう戦略は、人口が減少して行くことが確実な日本において効果的です。ドン・キホーテは食品、衣料品、家電、家具などあらゆるカテゴリが売れるので、日本社会で起こっているすべての消費トレンドに乗ることができます。

日本人に受けたコンセプトがそのまま外国人にも通用している

ドン・キホーテは外国人観光客に人気のお店になっていて、インターネットでもよく紹介されています。私がインターネットを調査した感じでは、外国人観光客に受けているポイントは最初の頃の日本人と同じで、面白い雑貨に興味を持っている人が多いです。

日本人にはドン・キホーテの熱狂的なファンがいますが、やはり外国人観光客にも同じように熱狂的なファンになる人がいます。日本人のお客さんがこれまで通ってきた道を、外国人観光客のお客さんがそのまま通っているような状況になっています。

ドン・キホーテで買い物をする外国人観光客は、20-23時くらいの夜の時間に集中的に来店するそうです。日中は観光を楽しむために遠方に出かけて、夜になって観光地から帰って来て、ホテルの近くのドン・キホーテで買い物をするとのことです。

ドン・キホーテはもともと夜にも日本人のお客さんが買い物に来るお店ですから、外国人観光客も夜に来てくれると人員配置もやりやすくなります。日本人が買っている商品を見てもらい、外国人観光客も同じものを買うように持って行きたいところです。

百貨店や家電量販店も外国人観光客を集めていますが、日本人と異なる商品が売れることは手放しでは喜べません。どんなに外国人観光客に売れても、それが日本人の中でトレンドになることはなく、外国人観光客ブームが終われば死筋になります。

ドン・キホーテやマツモトキヨシのように、普段の営業の中で無理なく売上が伸ばせている企業は外国人観光客ブーム後の影響も小さいです。企業努力の差に加えて、取り扱い商品の差もありますが、ドン・キホーテは外国人観光客をうまく取り込めています。

好調な業績を背景にして時代に合った新業態の開発も進む

小売業ではプライベートブランドが増えていますが、ドン・キホーテには「情熱価格」というプライベートブランドがあります。私は実際に購入したことがないのですが、ネットで検索しても特に人気になっているというような感じはありません。

好調なドン・キホーテの業績を見ていると、これからプライベートブランドは洗練されて来るはずです。商品の差別化がますます難しくなっている中で、後ろから追いかけるドン・キホーテのプライベートブランドは先行企業を真似しながら開発できます。

ドン・キホーテは新しい業態として「驚安堂」という、コンビニを大きくしたような、幅広い生活必需品が買える店舗を出店しています。公式ホームページの店舗一覧にはまだ5店舗しかないため、この業態がお客さんに支持されるかどうかの判断はまだ後のことになりそうです。

しかし、自宅近くで食品と日用品を便利に買うストアコンセプトは時代のニーズにマッチしていて、高齢者や車を持たない若者のニーズがあります。食品や雑貨などのプライベートブランドの品質が良くなれば、ブレイクするのではないかと思って注目しています。

ドン・キホーテの通期の売上予想見通しは6,580億円となっていて巨大ですが、幅広い層のお客さんに支持されているとは思いません。ドン・キホーテを気に入っているファンが多くのカテゴリを買うため、お客さん1人当たりの購入金額が大きいです。

従来のドン・キホーテとは異なる新しい業態を開発することによって、これまでとは異なる新しいお客さんにリーチできます。ドン・キホーテは郊外、都市部にお店が多いですが、住宅街に新業態のお店を増やすことができれば売上が伸びそうです。