ローソンの低価格店舗ローソンストア100が大量閉店の予定

ローソンの低価格店舗ローソンストア100が大量閉店の予定

ローソンストア100はナチュラルローソンとともにローソンが運営する業態の一つですが、全店の約2割にあたる260店舗を閉店するとのことです。100円という価格の制約がある中で、新商品を開発し続けることが難しいのではないかと思います。

セブンイレブンとの比較を避けるために、ローソンが複数の業態を運営するやり方は良い方法です。ただ、コンビニの食品には高品質化、高価格化の大きなチャンスが来ていますから、100円の低価格で儲からない商品にこだわる必要もないのではないでしょうか。

食品を99円で販売していた九九プラスを買収して規模を拡大

昔、九九プラスという会社があったのですが、SHOPP99という名前のコンビニのような小型店舗を経営していました。99円の均一価格で幅広いカテゴリの食品を販売していて、特に肉、野菜、魚などの生鮮食品を売ることが特徴でした。

私も何度か買い物をしたりテレビでも特集を見たことがあるのですが、一言で言うと非常にカオスなお店でした。外国産の食品が多く、生鮮食品も1,2人の素人っぽい店員が管理していて、「このお店で買い物をして大丈夫か?」と思わせるお店でした。

九九プラスをローソンが買収したのですが、買収の目的は生鮮食品の販売ノウハウを得るためだったのではないかと思います。SHOP99は肉、野菜、魚の生鮮食品を調達するルートがあって、店内でも値下げをして損失を減らすなど販売ノウハウもありました。

数年前には生鮮食品をローソン全店で取り扱うようになるという話もありましたが、拡大することなく今回の縮小のニュースが出ています。コンビニは生鮮食品を何とかして売りたいと考えていますが、高品質の商品をロスを出さずに売ることは難しいようです。

ローソンストア100では、肉、野菜、魚の生鮮食品をいくつか売っていますが、お客さんのイメージする生鮮食品とは異なっています。野菜はカット野菜、肉や魚は加工品が多いですから、食品スーパーの代替えとして使うには物足りない状態です。

品揃えに関しては、SHOP99は食品スーパーに近いイメージでしたが、専門知識のないコンビニのアルバイト店員が生鮮食品を管理するのは大変です。店頭で生鮮食品を売ることは管理の点でも利益の点でも難しいのですが、オンラインで注文して、コンビニで受け取る販売方法はうまく機能する可能性があります。

ローソンは複数の業態を運営してセブンイレブンとの比較を避ける

コンビニ業界では昔からセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートが3強の状態になっていて、下位グループとは差がありました。最近は上位3社の中でも差が広がっていて、トップのセブンイレブンとローソン、ファミリーマートの差が認識されるようになっています。

コンビニの競争力は「食品の味」ということになるのですが、セブンイレブンが美味しいとする雰囲気が拡大しています。ローソンはロールケーキ、ファミリーマートはフライドチキンとヒット商品がありますが、ヒット商品もすぐに真似されてしまいます。

ローソンはローソン本体に加えて、ナチュラルローソン、ローソンストア100と2つの業態のお店を運営しています。ローソンが効率が悪くなっても複数の業態を運営する理由ですが、セブンイレブンの2番手というイメージを払拭するためではないかと思います。

ローソンとセブンイレブンは競合だと感じますが、ナチュラルローソンやローソンストア100は少し違う感じがします。「同じコンビニでしょ?」とセブンイレブンと比較されると苦しいため、複数の業態を開発することで独自性を出そうとしています。

ローソンストア100が縮小することになっても、複数の業態を運営するローソンの戦略が悪いわけではありません。セブンイレブンはセブンプレミアムの大量生産、大量販売が基本戦略になっているため、同じことをやろうとするとますます差が付きます。

セブンプレミアムが高品質を売りにするのであれば、ローソンが健康という独自の切り口でお客さんの目線をずらすのは良い方法です。セブンイレブンは競合を意識してないとは言いますが、ローソンやファミリーマートを真似している感じの商品もあります。

商品の価格を均一にすると価格制限から新商品の開発が難しくなる

ローソンストア100では多くの商品を100円で売っていますが、○○円均一はお店にとっては売上を伸ばしやすい売り方です。お客さんはどの商品を買っても価格が同じですから買い物がしやすく、意識しないうちに買い上げ点数が増えることが期待できます。

○○円均一の商品は低価格の場合が多いので儲からないように見えますが、買い上げ点数が多くなるので思ったより利益率は低くありません。全品280円均一の焼き鳥チェーンの鳥貴族が人気になっていますが、経常利益率は5%を越えていて、お客さんの心配をよそに飲食店としては十分に高い利益率です。

しかし、○○円均一の売り方は後から価格を変えることが難しいため、うまく行かなくなると立て直すことは難しいです。○○円均一の売り方にとって怖いのが原価の上昇で、すべての商品の値段を上げるとお客さんのお得感が一気になくなってしまいます。

100円ショップは長い間多くの商品を100円で売ってきましたが、300円や500円の商品も増えていて、100円均一が崩れています。100円ショップに300円や500円の商品が増えても100円ショップもお客さんもあまり困っていませんが、ローソンストア100に100円以外の商品が増えすぎてローソンのようになると、ローソンストア100の存在意義がなくなります。

あらゆる業界でコストアップが言われていて、商品の価格と価値のバランスを取ることが難しくなっています。ローソンストア100では100円という価格の制約がありますから、100円で売れて、かつ利益が出る商品を作らなければいけません。

商品開発競争が成熟して差別化が難しい中で、価格を制限されると商品開発が難しくなります。100円で魅力的な商品を継続的に開発することは難しく、ローソンストア100が大量閉店する一番の理由は商品開発の難しさではないかと推測しています。

食品の高品質化・高価格化を目指す中で低価格のコンセプトは不要

お客さんの食品への関心が高まっているとされていて、コンビニの食品やお総菜が好調とのニュースが多いです。コンビニで食品を買う理由については、若い人は遠くに買い物に行きたくない、高齢者は遠くに買い物に行けないなどがあります。

あるいは、コンビニの食品の品質が高まっていて、ファーストフードや外食と同じ価値を見い出す人が増えているとも考えられます。コンビニの食品が大きなチャンスを迎えている中で、ローソンストア100の低価格コンセプトはもったいないです。

ローソンストア100とローソンの商品の関係を考えるときに、100円マックと普通のマクドナルドの商品の関係が頭に浮かびます。マクドナルドが好調の時は100円マックの商品も通常価格の商品も売れたのですが、時間が経つとともに通常価格の商品が売れなくなり、マクドナルドは100円マックばかりが売れる低収益な企業になってしまいました。

100円の商品に慣れることで通常価格の商品が割高に感じるようになり、最終的には買わなくなります。ローソンストア100とローソンは別店舗ではありますが、ローソンストア100が増えると通常のローソンの売上に悪影響を与える可能性があります。

コンビニがお客さんに支持される要因のひとつは簡単にアクセスできる立地で、立地を強みにしてナショナルブランドを高い価格で売って来ました。最近はプライベートブランドの開発に力を入れていて、こちらも品質と立地を強みにして高い価格で売れています。

ローソンが商品を100円で売り始めた時から懐疑的でしたが、商品を高く売るチャンスが増えている中で、あえて安売りをする意味がありません。100円で良い商品を作るという無理難題に挑むよりも、高品質、高価格の商品を作る方にチャンスがあるのではないでしょうか。