業界の注目企業のオイシックスも営業利益率は高くはない

業界の注目企業のオイシックスも営業利益率は高くはない

オイシックスの最新の決算では営業利益率が約4%となっていて、実店舗の高収益食品スーパーとあまり変わりません。ネットショップはコストが掛からずに儲かるイメージがありますが、競争が激しい現在では商品を売るために様々な付加価値が必要です。

日本全国のお店と競合するネットショップでは、No.1になるためには設備投資のお金も時間も掛かります。1人でも多くのお客さんに商品を販売して規模を拡大しなければ、利益を確保することが難しい、厳しいビジネスになっていると言えます。

新鮮な野菜を販売するオイシックスはネットショップの先駆者

オイシックスは有機野菜、惣菜の調理キットをネットショップで販売している、2000年に創業した業界では長い歴史を持つ企業です。遠方に住んでいる生産者とお客さんを結び付ける仕組みは、ネットショップが登場したからこそできるものです。

お客さんが新鮮な野菜を買いたいと考えていても、近くにお店がなければあきらめるより他ありませんでした。今でこそネットショップでは何でも売っていますが、ネットショップ初期の商材として野菜は目の付け所が良かったと思います。

現在、ネットショップでは定期購入に期待が集まっていますが、オイシックスは昔から定期購入を行っています。定期購入では仕入管理、在庫管理など、各種業務の効率化が図れるメリットがあり、定期購入で商品を販売しようとするお店が出てきています。

一度契約をするとその後の販売は効率的ですが、最初の契約を取り付けるまでが大変で、大きな広告費が掛かります。オイシックスはアフィリエイト広告を行っていて、実際にオイシックスの食品を購入したことがあるお客さんの口コミを増やしています。

オイシックスのビジネスは販売している商品、販売方法ともに洗練されていて、ネットショップのトップ企業の一つです。商品を絞り込んで規模を拡大して、定期購入で売るやり方は、最も大きな利益が期待できる最高のビジネスモデルです。

品揃えを増やして買い物の利便性を付加価値にするやり方では、Amazonなど数社しか生き残ることができないと思っています。こうしたことはある程度時間が経ってから分かったことですが、ネットショップ初期から取り組んでいる点は先見の明があります。

物流センターや実店舗など商品を売るための設備投資が不可欠

ネットショップが売上高の規模を拡大して行くためには、自社で物流センターを運営することが不可欠になっています。Amazon、ZOZOTOWN、アスクル、MonotaRoなど、急成長を続けているネットショップは自社で物流を管理しています。

商圏の制約がないネットショップでは競争が激しいため、スケールメリットを活かして物流部門でコストを削減して、削減したコスト分の資金を品揃えの拡大や値下げにつぎ込む必要があります。オイシックスの場合は商品が鮮度管理が大変な食品であることも関係していますが、早くから自社で物流センターを運営してコストを削減しています。

ネットショップの数が増え続けていて、お客さんの関心を自店に引き留めて置くことが難しくなっています。そこで言われ始めたのがお客さんとの接触機会を増やすことの重要性で、ネットショップ専業企業の中には実店舗を出す企業が現れています。

実店舗で商品を紹介したり販売をすれば、それをきっかけにしてネットショップの利用も期待できます。オイシックスは既に実店舗を2店舗運営しており、物流倉庫への投資と合わせて、ネットショップビジネスの最先端の設備投資を行っています。

実店舗とネットショップの両方に当てはまることですが、商品開発やテクノロジーへの投資の重要性が高まっています。コンビニ業界では上位チェーンによる下位チェーンの買収が進んでいますが、投資余力がない下位チェーンはもう生き残れないからです。

実店舗と同じようにネットショップでも、商品開発、集客、物流、カスタマーサービスに投資できない企業は生き残ることが難しいです。ネットショップでは既に上位企業にお客さんの注文が集中的に集まっていて、実店舗よりも競争が厳しいと言えます。

4%の営業利益率は食品スーパーと比べて特に高いわけではない

オイシックスの通期の業績予測では売上高が183億円、営業利益が7.5億円となっていて、営業利益率は約4%です。実店舗の食品スーパーの営業利益率は「個人的な印象」では2-3%程度ですから、オイシックスの営業利益率は1.5-2倍といったところです。

ネットショッピングは今後も成長を続けるため、オイシックスには規模の拡大と利益率改善の余地がありますが、4%の営業利益率はそれほど高くはありません。実店舗の食品スーパーの中でも営業利益率4%に迫るところもあり、ネットショップが実店舗よりも確実に高収益になるわけではありません。

ネットショップは販売コストが小さく儲かるイメージがありますが、それはITリテラシーの高いお客さんばかりの時代だから可能なことでした。書籍、CD、小物家電を買うお客さんは商品知識が豊富なため、ネットショップは小さな販売コストで商品が売れました。

しかし、小物家電では簡単に売れる分だけ価格比較が激しくなり、販売コストが小さくても徐々に利益率は悪化することは避けられません。簡単に売れる商品は価格比較が激しくて儲からず、簡単に売れない商品は売るために費用が掛かるのでやはり儲かりません。

実店舗は賃料、人件費、光熱費の負担が大きく、ネットショップではこうした費用が相対的に小さいです。ネットショップのコスト面での強みは今後も続きそうですが、ネットショップ同士の競争は激しくなり、集客コストは増える一方です。

実店舗では近所のお客さんがフラッと買い物に来てくれますが、ネットショップでは宣伝をしない限りお客さんが来ません。ネット上に新しいお店、新しい商品が増え続ける中で、集客のコストがネットショップの経営課題として浮上しています。

商圏の制約がないオンラインでは類似するお店との競合が激しい

オイシックスは野菜のオンライン定期販売の先駆者ですが、同じように野菜を定期販売するネットショップがあります。らでぃっしゅぼーやはオイシックスと同じく広告をよく目にしますが、その他にも地方から出荷する中小のネットショップもあります。

野菜のオンライン定期購入のお店が増えて来たことで、その中でお客さんの注目を引くことが難しくなっています。「宅配野菜+比較」で検索すると比較サイトが出てきますが、このように並べて比較をされると商品を高く売ることが難しくなります。

ネットショップが登場した2000年代は、全国のお客さんに商品を販売できるメリットが強調され、問題点はほとんどありませんでした。しかし、誰でも低価格でネットショップを運営できるようになれば、全国のお店と競合する厳しさが目立って来ます。

お客さんは気になるネットショップを見つけても、次の瞬間にはまた別のネットショップに簡単に行くことができます。似たような商品はないか、もっと安い商品はないか、セールはやっていないか、と比較されてしまうため、商品を販売することが難しいです。

食品スーパーの営業利益率が2-3%程度(個人的な印象)、オイシックスの営業利益率が約4%であることを見れば、実店舗よりネットショップが儲かるとは一概に言えません。さらに、実店舗の場合はネットショップとは異なり商圏の壁があるため、ネットショップのように日本全国のお店と厳しく比較されることもありません。

全国一番ではなく地域一番のお店になれば良く、地域一番の地位を得ることができれば、お客さんを長く囲い込んで売上と利益が安定します。一方、ネットショップでは全国一番が求められるため、競合企業に勝ち続けるには継続的な投資が必要になります。