小売業を中心に複数の事業を行うセブン&アイとイオンの比較

小売業を中心に複数の事業を行うセブン&アイとイオンの比較

2大小売業グループであるセブン&アイ・ホールディングスとイオンについて、4つの分野で事業内容を比較している記事があります。両社の収益構造には違いがあり、セブン&アイ・ホールディングスはコンビニ事業、イオンはモール事業と金融事業が利益の中心になっています。

今後小売業での注目の分野は、プライベートブランドの食品、オムニチャネルによる買い物の利便性の向上になります。セブン&アイ・ホールディングスは盤石と言えますが、イオンはプライベートブランドのイメージが良くなく、コンビニの規模も小さいのは不安材料です。

プライベートブランドとオムニチャネルにおいてコンビニが重要

セブン&アイ・ホールディングスもイオンもコンビニ事業を持っていますが、両社のコンビニ事業には大きな差が付いています。セブンイレブンはセブン&アイ・ホールディングスの利益の多くを稼いでいますが、イオンにおけるミニストップの貢献は小さいです。

コンビニは現在のお客さんのニーズとマッチしていて、ローソン、ファミリーマートも業績を伸ばしています。上位のチェーン店が業績を伸ばす中で、イオングループのミニストップは店舗数も少なく停滞していて、フランチャイズオーナーを集めにくいのかなという感じがしています。

小売業にとってこれから重要になって来ることは、高い利益率が期待できるプライベートブランドの開発です。プライベートブランドは数を売れば売るほど生産・販売の効率が高まるので、グループ全体で販売数量を伸ばそうとしています。

コンビニはプライベートブランドを知ってもらい、販売するうえで中心的な販路になり、店舗数を増やすことがグループの目標になります。イオンにとってミニストップの存在感が小さいことは、プライベートブランドを拡大する上で弱点になっています。

コンビニはアクセスの良い好立地にお店を多く抱えているため、ネットショッピングの商品受け取り場所になることが期待されています。自社のネットショップと連携することに加え、他社のネットショップと連携することで集客力を強化できます。

小売業では店舗数が多いほどビジネスが有利に進むのですが、セブンイレブンが約17,000店あるのに対してミニストップは約2,100店と差があります。ネットショップの商品を受け取りに来店してもらい、ついでにプライベートブランドを買ってもらうことが最高のシナリオになります。

収益性が悪化している総合スーパーには依然として集客力がある

セブン&アイ・ホールディングスのイトーヨーカドー、イオンともに総合スーパーでは苦戦が続いています。総合スーパーはかつては衣食住の商品が一カ所で買える便利なお店だったのですが、現在ではお客さんの買い物場所は専門店に分散しています。

人件費や光熱費などの販売管理費が大きいので売上の減少に弱く、大きな売上があっても利益は小さくなってしまいます。ただ、利益が少なくなっていても売上は依然として大きいので、多数のお客さんに支持されていることには違いありません。

総合スーパーもコンビニと同様に、プライベートブランドの拡大とネットショップの受け取り場所として価値があります。総合スーパーの利益が小さくなっているとしても、売上はまだまだ大きいのでお客さんに買い物をしてもらえています。

特に食品は現在お客さんの注目が集まっているカテゴリで、プライベートブランドの食品を売ることが可能です。食品以外のカテゴリは挽回が難しい状態が固定的になっていますが、食品が売れているうちはまだまだチャンスがあります。

総合スーパーは小売業の中でも歴史の長い業態ですから、古いお店では築20-30年経っているところもあります。このようなお店の商圏では子供が独立してお客さんも高齢化しており、そもそも商品の需要自体が縮小している事実もあります。

総合スーパーの業績が不振なのは総合スーパーに落ち度があるというよりも、商圏が高齢化したことによる需要の縮小の方が大きいと考えています。高齢化したお客さんに対して、新しい商品、新しいサービスで新しい売上を作って行くことが必要になっています。

食品の重要性が増す中で飲食事業ともシナジー効果が出てくる

セブン&アイ・ホールディングスはデニーズがグループ会社にありますが、セブンネットショッピングでデニーズのメニューを販売しています。イオンはイオンモールを運営していますから、モールに必要な飲食事業を自社で持っていてもおかしくはありません。

セブン&アイ・ホールディングスやイオンが飲食事業を持つことについて、これまでは小売業とのシナジーを感じなかったので個人的には興味がなかったです。しかし、最近はいくつかの理由から、飲食事業がグループ内にあることのメリットが出てきているように思います。

コンビニではプライベートブランド(食品)が人気になっていて、今後も高品質・高粗利のプライベートブランドの開発が行われます。また、コーヒー、ドーナツなどの店内調理の食べ物にも人気があって、こちらも成長が見込まれています。

「美味しい食べ物」をお客さんに訴求する際に、グループ企業に飲食事業を持っていることでお客さんへのアピールが強まります。飲食店で販売しているメニューの廉価版のような商品を開発して、コンビニや総合スーパーで販売することで飲食事業ともシナジーが生まれます。

小売業でも飲食業でも当てはまりますが、規模が大きくなればなるほど原価が下がって利益率が高くなります。ワタミは居酒屋事業から介護事業へと進出しましたが、これは居酒屋で使う食材を介護事業のご飯でも使うことで規模の拡大を意図したものです。

牛丼のすき家は知名度のあるお店ですが、すき家も巨大なゼンショーグループの飲食店の一業態で、グループにいることで規模の拡大の恩恵を受けています。これからの小売業における食品の重要性を考えると、グループ内の飲食事業が拡大することのメリットは大きいです。

お客さんとの接触が多い小売業には金融で儲けるチャンスがある

セブン&アイ・ホールディングスもイオンも金融事業を行っており、それぞれ212億円、100億円と大きな営業利益を稼いでいます。セブン&アイ・ホールディングスの金融部門の利益の90%近くは、セブンイレブンの店舗に設置しているATMからの手数料収入になっていて、ATM手数料収入だけで大きな利益を上げていることが特徴です。

一方、イオンは従来の銀行と同じように投資などで収益を上げているほか、ローン、保険、クレジットカードなど消費者向けの商品が充実しています。投資や融資の収益性についてはよく分からないのですが、ATM手数料はローリスクですから、ATMを設置するお店が増えれば増えるほど収益が増えるので確実に利益を計算できます。

最近、目にするようになったキーワードの一つに「フィンテック」というものがあるのですが、これはファイナンス(金融)とテクノロジーを組み合わせた新しい言葉です。スマートフォンなどのテクノロジーが発達したことで、これまでの金融ビジネスが大きく変わることが予想されています。

例えば、スマートフォンがクレジットカードになって、決済で使われるようになれば、それだけで自動で家計簿が付けれるようになります。自動で作成された家計簿を元に、インターネットを通じてファイナンシャルプランナーなどの専門家からアドバイスを受けるサービスも出てきます。

両グループともに既に金融事業で利益を上げていますが、今後も金融事業で収益を伸ばすチャンスがあります。お客さんは毎日コンビニや総合スーパーで買い物をしており、セブン&アイ・ホールディングスやイオンに対して良いイメージを持っています。

短期間で大きな預金を集めることができたり、ATM手数料で収益が得られるのも、これまで培って来た小売業としての信頼があるからです。具体的なアイデアはないのですが、フィンテックの分野にも食い込めるのではないかと思っています。