ドラッグストアにはこれからの社会に適した強みが揃っている

ドラッグストアにはこれからの社会に適した強みが揃っている

ドラッグストアは現在最も勢いがある小売業の一つですが、お客さんがドラッグストアで買い物をするには理由があります。今後もドラッグストアの勢いは落ちないと考えていますが、社会環境にマッチするドラッグストアの強みを4つあげてみました。

コンビニとドラッグストアは小売業の主役の2業種ですが、お客さんのニーズを考えると順当な結果だと言えます。コンビニとドラッグストアが小さなお店で効率よく商品を売っているのを見ると、大型店で効率を無視して売る従来の小売業の戦略は、いつかは継続が難しくなると思います。

生活必需品である食品と日用品で安売りができることは強み

高齢化社会や人口の減少が広く認知されるようになって、これからの日本の成長に悲観的な意見を目にすることがあります。小売業はお客さんの生活に必要な商品を販売していますから、お客さんの数自体が減れば売上が減ることは避けられません。

これまでも小売業同士の競争はあったのですが、これからの競争は減って行くパイの奪い合いなのでさらに激しくなります。市場を独占して成長してきたユニクロ、ニトリなどの製造小売業も、最近は伸びが弱くなっていて小売業の頭打ちを感じます。

自動車、家電、家具などの高単価の商品が売れにくくなりますが、食品、日用品、雑貨などの低単価の商品は有望だと考えられています。高額の商品を買わなくなった若者はお金の余裕ができますが、それがプチリッチと呼ばれる、少し価格が高めの食品へのニーズになっています。

高齢者は若い世代と比較すると生活に必要な商品が少ないため、食品、日用品など生活必需品への関心が自然と高まります。小売業にとって食品、日用品は世代に関係なく集客効果があるため、多くの業種で拡大しようとする動きがあります。

ドラッグストアはナショナルブランドの食品、日用品を販売しており、低価格のお店としてお客さんに知られるようになっています。ドラッグストアは医薬品で大きな粗利を稼いでおり、その儲けを原資にして食品や日用品を低価格で販売しています。

食品や日用品を安く販売すれば集客力を高められますが、物が売れない時代においてはその価値は特に大きいです。生活必需品である食品と日用品が安いお店として認知度が高まれば、ディスカウントストアやホームセンターからもお客さんを奪えます。

駅前や住宅街などアクセスの良い場所に店舗が多いことは強み

ドラッグストアの立地は各チェーンによって様々ですが、駅前と住宅街の好立地にお店があることが多いです。ドラッグストアではマツモトキヨシが昔から有名ですが、駅前の好立地にお店を構え、10代後半から20代前半の若い女性の支持を集めて来ました。

郊外に駐車場を持つお店が登場して、こちらは住宅街に近いだけに、少し年齢層が上がった主婦や高齢者の女性に人気のお店になりました。お客さんの買い物範囲が狭くなる中で立地の悪い郊外店舗は微妙になりつつありますが、私の周辺のドラッグストアはおおむね良い立地にあります。

ドラッグストアは主に女性のお客さんをターゲットにしているため、買い物のしやすさを意識したお店になっています。郊外型の店舗では駐車場が広いことが特徴で、自動車の運転に不安がある女性でも買い物に行きやすいような店舗設計になっています。

また、店内は明るく、通路は広く余裕を持っていて、小売業のお店の中でもお客さんの買い物の負担が小さいお店になっています。高齢化社会が進んで高齢者の買い物が大変になる中で、買い物がしやすいドラッグストアには高齢者のお客さんも増えて来ています。

小売業の出店戦略を振り返ると、駅前、住宅街、郊外という具合に、お客さんの買い物場所が移動して来ました。2000年以降は自動車での来店を計算して郊外に多くのお店が出店したのですが、お客さんが自動車を持たなくなることで危機に陥りそうです。

駅前、住宅街は「過去に栄えた立地」だったのですが、社会環境の変化によって再び注目される立地になろうとしてます。食品と日用品を販売するドラッグストアが住宅街にできれば、地域のお客さんの買い物を独占できるかもしれません。

競合であるコンビニよりも店舗と駐車場が大きいことは強み

ドラッグストアがコンビニ化していると言われていて、コンビニとドラッグストアはこれから激しく競合することになりそうです。住宅街においてはコンビニと商圏が重なりますから、同じお客さんを相手にするので販売する商品も似て来ます。

ドラッグストアがコンビニを意識しているわけではなく、お客さんのニーズに対応すると結果的にコンビニのようになるという感じです。ドラッグストアは食品でコンビニに大きく劣りますが、品揃えではコンビニよりも優れていてお互いに強みと弱みがあります。

コンビニとドラッグストアを比較したときに、売り場面積や駐車場が大きなドラッグストアは有利な立場にいます。小売業にとって実店舗とネットショップを統合したオムニチャネルは、お客さんの買い物の利便性を高めるために不可欠な仕組みです。

将来的には、コンビニやドラッグストアのネットショップで注文をして、コンビニやドラッグストアの実店舗で商品を受け取ることになると予想しています。実店舗にはネットショップの注文商品を置くことが増えますが、店舗面積の大きなドラッグストアはより多くの商品を管理できます。

コンビニを小売業の現在の王者とすると、ドラッグストアは同じ商圏で同じお客さんを抱える挑戦者になります。プライベートブランドの開発ではコンビニに経験の蓄積がありますが、後ろから追いかけるドラッグストアの方が有利な点も少なくありません。

コンビニとドラッグストアでは店舗と駐車場の大きさが異なりますが、これからお客さんからお店に対してどのようなニーズが出てくるか分かりません。新しく登場するお客さんのニーズに対して、コンビニはハードの点で対応できないがドラッグストアなら対応できる、というようなことが起こる可能性もあります。

プライベートブランドの拡大にあたり健康的なイメージは強み

ドラッグストアは食品と日用品を中心に販売しているため、コンビニ、ディスカウントストア、ホームセンターなどと競合しています。小売業全体でプライベートブランドが重要になっていますが、ドラッグストアでは特に重要だと考えています。

ディスカウントストアとホームセンターは「古参」の業種ですが、全体的にプライベートブランドへの取り組みが弱いです。ドラッグストアはプライベートブランドを訴求して、ディスカウントストアやホームセンターからお客さんを奪いたいところです。

ドラッグストアで売っている商品と聞いてどんなイメージを持つかですが、多くの人が何となく「健康」をイメージするのではないでしょうか。お客さんにプライベートブランドを販売するにあたり、健康なイメージが自動的に付いて来ることは好都合です。

個人的な意見ですが、コンビニは不健康なイメージ、ディスカウントストアとホームセンターは混雑していて埃っぽいイメージがあります。競合する業種と比較すると、新しい店舗の多いドラッグストアのイメージは清潔感があり、プライベートブランドの販売で優位に立てると思います。

ドラッグストアがコンビニと競合するうえで課題になるのが、弁当、惣菜、ファーストフードなどの調理品です。ドラッグストアの品揃えについて、調理品の重要性はよく指摘されるのですが、具体的にどうやって行くのかこれと言った動きはありません。

ドラックストアは衣食住の商品がある程度揃っていて便利ですが、食品の品揃えは加工食品が中心で物足りなさがあります。調理品の売上規模を考えると、コンビニと対等に戦うことは難しいですが、健康的なイメージでコンビニにはない独自性を発揮できます。