百貨店が売上を伸ばすためには体験とネットショップが鍵

百貨店が売上を伸ばすためには体験とオンラインショップが鍵

百貨店は店舗が巨大なため大きな動きもなく停滞している業界ですが、高齢化社会の到来は新しいチャンスになると考えています。小売業は自動車社会とともに成長して来ましたが、若者の自動車離れや高齢化社会で自動車を持つ人が減少すると見込まれています。

自動車がなくても来店できる立地が重要になりますが、駅前にある百貨店の立地の良さが見直されることになります。百貨店は店舗数が少ないため自社競合も少なく、他の小売業と比較して、ネットショップも積極的に展開することができます。

お客さんと小売業の変化によって百貨店の存在感が小さくなる

1980-1990年くらいの話になりますが、この時代の買い物場所は駅前と住宅街の大きく2つに分かれていました。住宅街の買い物では、個人商店や食品スーパーで毎日の生鮮食品を購入して、総合スーパーでは生活全般で必要となる商品を購入していました。

月に1回くらい駅前に買い物に出かけるのですが、駅前の百貨店は単なる買い物の場所だけではなく、エンターテイメント施設でもありました。百貨店と総合スーパーの2つしか大型店がなかったので、百貨店の存在感は今よりもはるかに大きかったです。

ダイエーなどの総合スーパーが規模を拡大していく中で、駅前から住宅街へと買い物の中心が動きました。百貨店は変わらずに高価格の商品を販売し続けていましたが、総合スーパーは規模の拡大による安売りを目指し、衣食住の商品をワンストップで販売します。

安くて多くの商品がまとめて買える総合スーパーに対するお客さんの満足度が高くなるにつれて、時間を掛けて駅前に買い物に出かける意欲も小さくなります。百貨店は売上構成比が大きな衣料品が不振なため、全体で見ると売上が下がっていますが、買い物をしていてもお客さんの賑わいは今も感じます。

長期に渡る百貨店の停滞を招いた要因として、専門店の台頭による商品の低価格化とデフレの2つも影響を与えています。衣料品、家具、生活雑貨など各カテゴリに専門店が台頭したことで、総合スーパーよりもさらに価格が安くなっています。

失われた20年と呼ばれる長期による不況によって、お客さんは専門店の安くてそこそこの商品を購入することを好みました。価格が高い百貨店で買い物をするお客さんはさらに減ってしまい、お金持ちが買い物をするお店のイメージが固まります。

食品・飲食店・イベントなどの体験には相変わらず期待がある

たまに百貨店に買い物に出かけて感じることですが、デパ地下はお客さんも多く、改装も積極的に行われるので売り場に綺麗さと活気があります。昔から百貨店の食品売り場は人気でしたが、お客さんの高齢化が進んでも継続して利用してもらえています。

歳を取るにつれて生活に必要な商品も減って行くのですが、食品の需要は消滅してしまうことはないため、工夫次第で売上を伸ばせる有望なカテゴリです。高齢のお客さんの食べる量が増えることは期待できませんが、高価格の食品が売れ始めている兆候があるので、単価を高めて行くことは十分に可能です。

百貨店の中には飲食店が入っていますが、こちらもデパ地下と同じように多くのお客さんが利用しています。百貨店は売上構成比が大きな衣料品が不振であるため、全体で見ると売上が下がっていますが、食品に対するお客さんの需要はあります。

売上が減っているからお客さんが百貨店に来ていないというわけでもなく、デパ地下や飲食店を見るとお客さんは多い印象です。食べ物に関しては昔から質のいいものを扱うイメージを育てて来ているため、お客さんを来店させる集客力は依然として強いです。

百貨店といえばテーマを持ったイベントや催し物がありますが、これも昔から根強い人気を持っているサービスです。私が利用している印象ではこうしたイベントのお客さんは高齢者がほとんどで、若い世代のお客さんを取り込めていないと感じます。

今のところ掴みどころがない話ではありますが、物を所有することから体験することへとお客さんの嗜好が変化しているという意見があります。これから体験型のイベントがお客さんに好まれるようになれば、百貨店に出かける人も増えるのではないでしょうか。

実店舗からネットショップへと誘導することで商品を売る

Amazonや楽天などのネットショップは従来の小売業にとって脅威ですが、不安な点がないわけではありません。ネットショップの弱点として指摘されるのがお客さんと物理的に接触ができないことで、商品の価値、ブランドの価値をお客さんに伝えにくいです。

お客さんと会話ができませんし、商品を手に取って体験してもらうこともできないため、商品の価値を伝えることが難しいです。高価格の商品を売ることは実店舗でも難しいのですが、お客さんと接触できないネットショップにおいてはさらに難しいです。

百貨店はこれまで多数イベントや企画を開催して、お客さんに文化を理解してもらい、商品を販売して来ました。イベントではお客さんの財布の紐も緩むのですが、それでもすべてのお客さんがその場で即決してくれるわけではありません。

取りこぼしていたお客さんをネットショップにも誘導して、買い物をしてもらえる機会を増やしたいです。今までは実店舗だけでお客さんに接触していましたが、来店前、来店後もネットを使ってお客さんと接触することで、より多くの商品を見てもらえます。

ネットショップの売り場は実質無制限ですが、このことも百貨店には新しいチャンスであると言えます。百貨店は駅前のコストが高い場所にあり、かつ社員も高齢化しているため人件費も高く、高単価な商品を売らなければいけない事情があります。

デフレになってお客さんの低価格指向が強まったのですが、百貨店はニーズに合わせて手ごろな価格の商品を販売することが難しかったです。ネットショップは相対的に運営コストが安いため、実店舗よりも多様な品揃えを展開することができます。

高齢化社会が進むことで百貨店に再びチャンスがやって来る

小売業は駅前から始まりましたが、自動車社会が拡大するにつれて駅前から郊外へとその中心が移動しました。しかし、人口の減少、ネットショップの台頭、業種を超えた競争の激化などにより、郊外のお店の将来が疑問視され始めています。

郊外のお店は自動車での来店を前提としているものが多く、自動車を持たない高齢者のお客さんは買い物に行くことが難しくなります。移動販売やコンビニが買い物難民の解決に期待されていますが、問題が解決するには試行錯誤と時間が必要だと思います。

高齢化社会の到来で交通手段としてバスが重要になっていて、バスで買い物に出かけている高齢者をよく目にします。百貨店は駅前の一等地にお店がありますから、バスを利用するお客さんは時間は掛かるものの、百貨店には高い確率で行くことができます。

食品スーパーやドラッグストアが近くにあっても、高齢者にとっては百貨店が最も行きやすいお店になる可能性があります。バスで1時間も2時間も掛かかれば行きやすいとは言い難いですが、自動車社会よりもバス社会の方が百貨店には好都合です。

小売業の中では大きな動きがない百貨店ですが、お客さんとの取引実績、信用では長い歴史があります。百貨店はネットショップを使うことで、実店舗での体験と絡めて高単価の商品を売ること、高齢者に食品・日用品など低単価の商品を売ることができます。

アクセスが良く集客力のある実店舗と、在庫の制限がなく幅広い価格帯の商品を販売できるネットショップをうまく活用したいところです。高齢化社会になれば実店舗はお客さんから頼られる存在になりますが、高齢者のお客さんと長い付き合いのある百貨店には期待が集まります。