コンビニはどのようにして飽和状態からの脱出に成功したのか

コンビニはどのようにして飽和状態からの脱出に成功したのか

コンビニが飽和であるとよく言われるのですが、コンビニの中には過去最高の出店を計画しているところもあります。店舗数が増えれば増えるほど出店の余地はなくなって行きますが、新しい商品、サービスを開発することで新規出店の余地を生み出しています。

以前は立地の良さや買い物のしやすさが主なアピールポイントでしたが、近年はこれに加えて商品の品質がお客さんに認められています。買い物を簡単に済ませたい単身世帯が増えていることも、コンビニにとっては良い外部環境になっています。

立地の良さと買い物のしやすさで割高な商品を販売して来た

私は1990年代の前半くらいからコンビニを使っていますが、昔のコンビニは今とはいろいろな点で異なっていました。コンビニが自社で開発している商品は弁当、おにぎり、一部の惣菜くらいで、それ以外の商品はほとんどがナショナルブランドでした。

弁当やおにぎりは珍しさがあったのですが、それ以外の商品はどこででも売っているありきたりのものでした。今でこそ食品を買う場所として人気がありますが、昔は商品の質よりも便利な立地がお客さんを引き付けている理由でした。

コンビニの商品は全体的に割高だと考えられていて、コンビニでたくさん買い物をする人はあまりいませんでした。ナショナルブランドの商品は総合スーパーや食品スーパーの方が安いので、コンビニで買う人は面倒くさがりの印象でした。

私の記憶ではコンビニをよく利用していたのは若い男女の高校生、大学生と、20代、30代の男性ビジネスマンが多かったです。女性は男性よりもお金をしっかり管理しますから、割高なコンビニで買わずにスーパーで買い物をしていました。

接客も今とはかなり異なっていて、無駄なことは一切話さないのが基本で、お客さんに店員が話し掛けて来ることはほとんどありませんでした。あまり愛想も良くなかったのですが、お客さんも丁寧なサービスを期待していないので特に問題もありませんでした。

お客さんには立地と買い物のしやすさが評価されていて、価格が少々割高でも利用してもらうことができました。高齢化社会が到来して買い物のしやすさに注目が集まっていますが、昔から買い物のしやすさにはお金を払う価値があったと言えます。

お客さんに声掛けをして積極的に商品を紹介するようになる

コンビニのオリジナル商品と言えば弁当やおにぎりですが、2000年代の中盤あたりから自社開発の商品が増えて来ました。ファミリーマートはフラインドチキンを定番化させ、他のコンビニチェーンもチキン関連の商品を充実させました。

チキンの次にやって来たのはローソンのロールケーキでしたが、チキンと同様にコンビニの人気商品として定着しました。チキンとスイーツの成功によってコンビニの食品が認知されるようになり、今日の成功の基盤になっていると思います。

これも2000年代中盤くらいからだと思うのですが、お客さんに積極的に声を掛けて商品を売るお店が増えて来ました。店内で調理する商品の種類が増えたことで、お客さんにシズル感をアピールして購入意欲を高めることができます。

声掛けをするお店としないお店では売上に大きな差が出ると、昔ビジネス雑誌で目にしたことがあります。どんなお店でも買おうか買うまいか悩んでいるお客さんは結構いるもので、店員が声を掛けることで背中を押されて買うケースはよくあります。

以前は声を掛けられることが煩わしいと考えられてきたのですが、いつから声掛けが普通のものとして定着しています。コンビニを利用するお客さんも歳を取っていますから、コミュニケーションに寛容になったというのが思い付く理由の一つです。

あるいは、ソーシャルメディアを利用する時間が増えたことで、実社会でも社交的な人が増えたというのもありそうです。コンビニはコミュニケーションのないそっけないお店から、お客さんとの会話や接触が増えたお店へと変化しています。

高価格のイメージを高品質のイメージへと転換することができた

コンビニはフランチャイズビジネスですから、決算書を見ると小売業としては高い営業利益率になっています。フランチャイズでなくてもコンビニの収益性は高いだろうと思うのですが、その根拠は安売りをして来なかったからです。

長い間デフレが続く中で物価が下がって行って、多くの小売業では販売する商品の価格が下がって利益が出にくくなりました。昔からコンビニの商品は高かったのですが、他のお店の商品の値段が下がる中でコンビニの価格の高さが目立ちました。

コンビニの商品でもナショナルブランドは当然高いのですが、そこから若干価格を下げたプライベートブランドが増えています。ナショナルブランドと比較すると価格が安いので、お客さんはお得感を感じてプライベートブランドを買おうとします。

プライベートブランドの改良が進んで品質が良くなっているため、お客さんが価格に感じるお得感がさらに高まります。安売りをする代わりに商品の品質を高めたことで、小売業全体で価格が下がる中でも高い価格を維持することに成功しています。

コンビニを20年近く利用していますが、昔と比較してコンビニの価格を高いと考えている人の数が減少しているように思います。近い、便利、買い物が簡単などのイメージは昔と変わりませんが、価格の高さは高品質へとうまくイメージの変化ができています。

セブンイレブンにはナショナルブランドよりも価格が高いプライベートブランドの食パンがあるそうですが、予想以上に売れているとの記事を見たことがあります。ナショナルブランド以上の価格で売れるようになれば、さらに高収益になることが期待されます。

食品スーパーや飲食店からお客さんを奪ってさらに勢いに乗る

コンビニは飽和状態とずっと言われているのですが、そう言われながらも店舗数を着々と増やしています。飽和状態だとする根拠は店舗あたりの人口で、全国の人口をコンビニの全店舗数で割ると、1店舗あたりの人口が少なすぎるとのことです。

そうすると、1店舗あたりの人口が減る中で出店ができている理由は、他のカテゴリから売上を奪っていることになります。コンビニは食品スーパーや飲食店からお客さんを奪っているとされていますが、これは正しい見方ではないかと思っています。

若い世代でも高齢者世代でも単身者が増えているのですが、こうした環境の変化もコンビニにとっては有利に働いています。高齢者の家庭では買い物に出かけること、調理をすることが大変になりますから、少々価格が高くてもコンビニで食品を買ってくれます。

若い世代ではデートや結婚をしなくなってお金に少し余裕のあるお客さんが、やはり少々価格が高くてもコンビニで食品を買ってくれます。コンビニの食品がおいしいと評価されていることは事実ですが、味以外の点でもコンビニを利用する動機があります。

コンビニのフライドチキンが登場してから10年くらい経ちますが、現在ではケンタッキーフライドチキンの売上に影響を与えていると言われています。最近始まった100円コーヒーについても、カフェや缶コーヒーの売上に影響を与えているとされています。

今後も成功している他社の食品を真似して、好立地と買い物のしやすさ武器にしてライバルから売上を奪うことができます。お客さんを呼べる商品が各カテゴリごとにあるため、今後も幅広いタイプのお客さんを引き付けることができそうです。