収益性を高めるためには自社で企画・開発する商品が必要になる

収益性を高めるためには自社で企画・開発する商品が必要になる

ユニクロ、ニトリなどの製造小売業は高い営業利益率を維持していますが、メーカー品を販売する多くの小売業の営業利益率が下がっているようです。どこででも買えるメーカー品は低価格化の圧力が強く、お客さんにお店の魅力をアピールする効果もありません。

自社の収益性とブランドイメージを改善するために、多くの小売業がプライベートブランドの企画・開発を積極的に行うようになると考えています。現在、家電量販店が苦境に立たされていますが、メーカー品の割合が多い業種は同じような状況に陥る可能性が高いです。

仕入販売型の小売業と製造小売業では収益性に大きな差がある

小売業が販売している商品は、メーカーから仕入れた商品、メーカーから仕入れて自社ラベルが付いているプライベートブランド、自社で企画・開発した自社製のプライベートブランドがあります。プライベートブランドは最近注目されていますが、単に小売業のラベルが付いただけのものから、開発に深く関与したものまで幅広いです。

小売業自身で製造・販売に取り組むほど粗利益率が高くなり、メーカーから仕入れて売るだけの場合は粗利益率が低いです。メーカーから仕入れて売るタイプの小売業は売上の規模が重要で、新しいお店を作って売上を増やして仕入原価を安くしようとします。

10-15年くらい前になりますが、ユニクロ、ニトリ、良品計画など、自社で商品の企画・開発を手掛ける製造小売業の存在を知りました。その頃にネット株ブームがあって決算書の読み方を勉強したのですが、製造小売業の収益性が高いことを知って驚きました。

2014年の現在はこれらの製造小売業が全盛期を迎えていて、高い営業利益率を保ったまま大きな売上をあげるようになりました。ユニクロは他の人とファッションが被る、ダサいなどと言われますが、ユニクロを利用し続けるファンがたくさんいます。

製造小売業がその地位を盤石にしている中で、メーカーから商品を仕入れて販売するタイプの小売業が苦戦しています。総合スーパーは専門店の商品に勝つことが難しく、家電量販店は商品での差別化ができないため、価格競争から抜け出すことができません。

メーカーから商品を仕入れて販売する小売業の利益率は低下する一方で、自社で商品を企画・製造・販売する製造小売業と大きな差が付いています。お客さんの立場からユニクロやニトリの価格を見ると安いと感じますが、その粗利益率は50%近くもあって、小売業の立場からすると非常に儲かる商品だと言えます。

返品が簡単に行えるお店の在庫管理は雑に行われてしまう

小売業に限った話ではありませんが、一般的に企業の規模が大きいほど他社との取引を有利に進めることができます。小売業で問題になることの一つが返品条件で、規模が大きい小売業は中小企業のメーカーに対して有利な返品条件を持っていることが多いです。

私も経験したことがあるのですが、こちらのミスで注文した商品、売れなかった商品をメーカーに返品したことがあります。小売業にとって都合の良いもののように見えますが、実際には返品が可能なことで、お店の運営には様々な悪影響が出ます。

返品ができるという事実が商品管理を甘くする原因の一つになってしまって、1回の注文で量を多く仕入れてしまいます。売れなかったら返せばいいと考えるわけですが、売り場や在庫ルームを無駄に埋めてしまったり、雑に扱って破損するリスクもあります。

ディスカウントストア、ホームセンターは商品の管理が雑で、店内にまで商品が出てきたり、外で雨ざらしになっている状況を目にします。最悪返品すればいいという気が緩んだ考え方があるため、商品の管理が雑になり大きな損失を生み出しています。

一方、ユニクロ、ニトリ、無印良品などの製造小売業のお店へ行くと、店内も商品も綺麗に整理整頓されています。自社の商品に対する責任感と愛着があるため、メーカーから商品を仕入れて売る小売業と比較して商品の管理が丁寧に行われています。

商品自体の粗利益率に大きな違いがあることは事実ですが、店舗運営の点でも製造小売業の方がしっかり商品を管理しています。綺麗なお店にすることで商品の見た目を良くしたり、在庫の破損を減らしたりなど、決算書では見えにくいのですが差があります。

統一感のある製造小売業の商品は愛されるブランドになる

自社で商品を企画・開発する製造小売業の特徴の一つがお客さんのロイヤルティーで、自社を支持してくれる熱心なファンを生み出しています。すべての商品が同じコンセプトで開発されているため、統一感があって好きになりやすいのだと思います。

ユニクロやニトリなど製造小売業は既存店の売上も伸びていることが多いですが、小売業では新規出店が難しくなる中で、既存店の存在が重要になっています。既存店の売上が伸びるのは熱心なファンを抱えている証拠であり、お客さんが繰り返し来店して買い物をしていることを意味しています。

新規出店が難しくなっている小売業にとって、売上を増やす戦略は品揃えの拡大だと考えています。品揃えを拡するにあたって重要になるのが既存顧客の存在で、既存顧客が多いほど新しいカテゴリが拡大しやすく、売上を伸ばすチャンスも大きいです。

ユニクロはカジュアルファッションの企業ですが、下着、スポーツウェア、浴衣など、カテゴリが拡大して衣類の総合企業になっています。自社の商品に対するこだわりがお客さんに評価され、メーカー品が多いお店とはお客さんの支持で大きな差があります。

インターネットを使ってお客さんが情報発信をするようになったことで、ファンの存在がさらに大きな効果をもたらしています。これは小売業に限ったことではないのですが、同じ趣味を持つ人たちがインターネットを通じて繋がるようになっています。

熱心なファンを抱えている小売業はネット上に発信される情報も多く、企業の売上を増やす宣伝効果になっています。有名な大企業だけの話ではなく、小さなファッションブランドであっても、ネット上では大きな存在感を見せていることもあります。

どこででも買えるメーカー品はオンラインで買うようになる

ネットショップの影響を受ける小売業が増えて来たことで、オリジナル商品の重要性が指摘されるようになりました。どこででも買えるメーカー品は価格競争が激しく、お客さんは商品を買うお店ではなく、メーカーと価格しか気にしなくなります。

メーカー品は単に売れにくくなるだけではなく、価格比較が厳しくなることで全体の売価も下がって来ることになります。価格競争の激化による低価格化はすでに家電で顕著ですが、今後は他のカテゴリでも見られるようになると予想しています。

どこで買っても同じであれば価格が大事になりますが、それに加えて買い物の利便性も重要になります。買い物の利便性は安さほどは重要視されて来ませんでしたが、ネットショップで不安なく買える商品は、わざわざ実店舗で買わなくなります。

例えば、購入してすぐに利用する食品、日用品などは依然として実店舗で購入する人が多く、ネットショップで買う人は少ないです。しかし、何らかの理由で一度ネットショップで買って満足すれば、ネットショップで買い続ける人も出てきます。

Amazonはカテゴリの拡大を継続的に行っていて、1度の注文で購入できる商品が増えてさらに便利になっいます。これまで、お客さんは総合スーパー、食品スーパー、ディスカウントストア、ホームセンター、ドラッグストアなど、複数のお店を回って買い物をして来ました。

こうした作業が1回の注文で完了して1回の配達で届くようになると、時間を節約するためにネットショップでまとめ買いする人も出てきます。品質や価格をよく知っているメーカー品は買い物のリスクがなく、お客さんは便利で安いお店で買い物をすることを好んでいます。