ブックオフの中古品売買ビジネスがうまく行かなくなっている

ブックオフの中古品売買ビジネスがうまく行かなくなっている

ブックオフの業績の下方修正が発表されていて、新規出店の減少、既存店売上の減少など厳しい内容になっています。インターネットが普及したことによる個人間取引の拡大により、ブックオフを含めて中古品売買ビジネスが大きな影響を受けています。

商圏の狭い実店舗と商圏がないネットショップを比較すれば、全国の人に商品を見てもらえるネットショップの方が売れる可能性が高いです。高く売れる人気商品はネットで売買されるようになり、実店舗には人気の商品は出てきなくなるかもしれません。

新規出店の停滞と売上確保の安売りで営業利益率が低下

ブックオフの最新の営業利益率は約1.7%となっていて、以前と比べて徐々に悪化しています。ブックオフは安く仕入れて高く売っていると思っているお客さんもいますが、仕入れた商品が売れなければ買い取り代金は損失になるため、イメージほど儲かる商売ではありません。

最近の小売業のニュースを見ていて感じることですが、売上を維持するために安売りをする企業が増えて来ています。各種コストのアップも収益性の悪化要因になりますが、それに加えて売上を維持するための安売りが激しくなっていると考えています。

ブックオフは新規出店ペースが落ちていることに加えて、既存店の売上も低迷しており、非常に厳しい状況になっています。経済の低迷、高齢化社会の到来などが原因で、小売業全体で新規出店が難しくなりつつありますが、中古品の売買においても厳しくなっているようです。

小売業では新規出店の拡大による売上の増加が重要視されていて、既存店の悪化を新規出店で補うことで売上を伸ばして来ました。しかし、様々な事情で新規出店が難しくなって来ると、既存店をどうやって伸ばして行くかという方向へ転換することになります。

お客さん個人から商品を仕入れるブックオフのビジネスでは、店舗数を増やして規模を拡大しても仕入原価は安くはなりません。この点は新品を仕入れて販売する小売業とは異なっていて、ブックオフのビジネスは営業利益率を改善することが難しいです。

また、お客さんはブックオフに書籍やCDを買い叩かれていると考えており、リユース品を買い取る業者も増えていて、商品を安く仕入れることも難しいくなっています。商品の仕入れを計画的に行うことが難しいだけに、収益性を回復させることは難しそうです。

特典やイベントをセットにした販売で新品の人気が高まる

新品の書籍、CD、DVD、ゲームなどに、特典やイベント参加権が付くことが当たり前になり、以前と比較して新品商品の魅力が高まっています。特典を手に入れるために新品を買うお客さんが増えていて、中古品の価値が下がってしまうことになります。

例えば、AKB48のCDには握手券や投票券の特典が付いているため、特典のない中古品を買おうとするお客さんはあまりいません。ブックオフには特典が付いていないAKB48のCDが大量に持ち込まれていますが、買う人が少ないので価格は暴落しています。

インターネットの登場で作家やアーティストとお客さんの関係が密になり、全体的に新品志向へと変化が起きているように感じます。従来は書籍やCDの情報を仕入れる場合、テレビや雑誌などのマスメディアを見て何が人気になっているのかを知りました。

詳しくは知らないけど全国で人気のものを買おうとするニーズがあったので、中古の書籍やCDがよく売れました。しかし、今のように作家やアーティストとファンがインターネットを通じて密接に繋がれば、中古品ではなく新品を買おうとする人が増えます。

また、書籍やCDはそれ自体を販売して利益を上げる商品ではなく、別の商品へと繋げる接点の役割も持ち始めています。書籍を入り口にして有料セミナーを販売したり、CDを入り口にしてミニライブのチケットを販売するなど、収益を得る方法が多角化しています。

書籍やCDが作家やアーティストの表現の「一部」になってしまうと、それを中古で売買する意義も薄れてしまいます。中古品の売買で利益を逃して来た作家やアーティストは、お客さんに新品を買ってもらい、これまで失っていた利益を得ようとしています。

価格設定の不備でブックオフの売り場には価値のない本が残る

ブックオフで書籍を安く仕入れて、ネットで高値で売って利ザヤを稼ぐ「せどり」と呼ばれる副業で利益を上げている人たちがいます。ブックオフでは安い価格で売っている書籍でも、ネットで売れば数十倍で売れるものが探せばたくさんあるそうです。

ブックオフでは古い書籍は決まった価格で買い取り、決まった価格で売るようになっていて、書籍の価値を反映していません。ブックオフが書籍の価値を適切に調べて管理して来なかったことが、インターネットの時代に弱点になってしまっています。

私も何回かブックオフで書籍を買い取ってもらったことがあるのですが、古い専門書は10円か買取不可のどちらかでした。どうも出版年で価格を決めているようで、発売後1,2年の新しいものはそこそこの値段になるのですが、古い書籍はさっぱりでした。

お客さんは古い書籍を処分するつもりで売りに来ていますから、買い取り価格が安くても買い取ってもらいます。ブックオフは書籍そのものの価値を気にしていないため、価値のある本もない本も決められたルールに沿って価格が付けられて売り場に並びます。

せどりを行う人はインターネットの価格を調べて、ブックオフでインターネットの価格よりも安く売られている書籍を探して仕入れます。価値のある書籍はせどりの人が買って行ってしまうため、ブックオフの売り場には売れない本ばかりが残ることになります。

ただ、ブックオフは書籍の買取りと価格を管理しようとしていて、価格の問題は近い将来は完全に解決するのではないかと思います。Amazonの中古本の価格を見れば相場が分かりますから、中古本の価格はAmazonに近づいて行くことになりそうです。

人気のある高額の商品はネット上で売買されるようになる

ブックオフのような中古品を売買するビジネスは、お客さん同士の売買を仲介していると見ることができます。ブックオフは売れるかどうか分からない中古品をリスクを負って買い取って、実店舗に並べて買い手がやって来るのを待つことになります。

ブックオフの周辺に住んでいる人たちがお客さんになりますが、商品を気に入って買ってくれるとは限りません。これまでは実店舗の狭い商圏で買い手を待つことが当たり前でしたが、ネットの全国商圏と比較すると買い手が見つかるチャンスは小さいです。

インターネットの普及で個人同士が取引がしやすくなったことで、個人間取引を仲介する中古品売買ビジネスの存在感が小さくなりつつあります。実店舗の狭い商圏で買い手を探すよりも、ネットで全国のお客さんに商品を見てもらった方が売れやすいです。

さらに、商品を売りたい人は高く売れ、商品を買いたい人は安く買えるケースも増え、売り手も買い手もWIN-WINの関係になります。書籍やCDは安いので気軽に売買できますが、中古車、中古住宅など高価な商品も、個人間で売買され始める可能性はあります。

ヤフーオークションが登場した時から、中古品の売買ビジネスが難しくなることはある程度は予想されていたことでした。スマートフォンが普及してインターネット利用人口が増えたことで、今後、個人間取引がさらに拡大して行くことが見込まれています。

何か良い商品はないかなといった感じで、中古品店に出かけて買い物をする人はこれからもいるとは思います。しかし、少しでも高く商品を売りたい人はネットで買い手を探そうとするため、中古品店の品揃えが悪くなるのではないかと予想しています。