高齢化社会が進むにつれてドラッグストアの存在感が強まる

高齢化社会が進むにつれてドラッグストアの存在感が強まる

店舗数が急拡大しているドラッグストアの現状を解説している記事があるのですが、コンビニと同様に今後も成長が続くのではないかと思います。ドラッグストアは昔からありますが、ここに来て業績が好調で出店が拡大している理由は、お客さんのニーズの変化だと言えます。

食品と日用品を家の近くで一緒に買いたいニーズが増えていて、ドラッグストアはこれに対応することで業績を伸ばしています。高齢化社会が進めば進むほどドラッグストアが必要とされる状況になり、医薬品を販売している専門性は特に強みになります。

医薬品の利益を原資にして食品や日用品を安売りで集客する

昔からドラッグストアで買い物をしていて医薬品は儲かりそうだなとは思っていたのですが、その粗利は4割もあるそうで大きいです。最近は求人広告を見ていても薬剤師の募集が多くて、高齢化社会が進んで医薬品のニーズが高まっているようです。

儲かっている医薬品の利益を原資にして食品や日用品の安売りを行い、非常にうまい商品戦略でお客さんをお店へと引き寄せています。他の小売業から見ると少しずるい感じもしますが、低価格で商品を販売できるドラッグストアは存在感を強めています。

私はあまりドラッグストアで買い物をしないのですが、昔は若い女性や主婦が買い物をするイメージでした。医薬品、衛生用品、日用品などが品揃えの中心ですが、従来の薬局と比べて売り場面積が大きすぎて、品揃えも豊富すぎるような印象を持っていました。

そこから商品の絞り込みが行われて、空いた売り場に食品などのカテゴリを増やすことで、お店の品揃えが総合化されて来ました。依然として女性のお客さんが多いのですが、男性や高齢者でも、生活用品が一通り買えるだけの便利なお店になっています。

食品と日用品の安売りで若い客層を集客できている点は、これから20年、30年後に強みとして効果が出そうです。現在、日用品と食品を買っているお客さんが歳を取れば、そのまま医薬品を買ってくれるお客さんになってくれるからです。

お客さんを長期に渡って囲い込む効果が小売業で見られていて、例えば、業績好調のドン・キホーテが良い例です。昔のドン・キホーテは若いお客さんに雑貨を販売するお店でしたが、今ではファミリーになったお客さんに食品や生活用品を売っています。

小商圏のお客さんのニーズに対応してコンビニと競合する

ドラッグストアの品揃えが拡大して、コンビニの品揃えと似て来ているとよく指摘されます。これはドラッグストアがコンビニの真似をしているというよりは、単純にお客さんのニーズに対応して行くと、コンビニのような品揃えにたどり着くということです。

特に住宅街のドラッグストアは近隣の住民がお客さんですから、コンビニと同じような商品を求められます。総合スーパー、食品スーパー、ホームセンター、ディスカウントストア、これらの売り場から購入頻度の高い生活必需品を抜き出したような感じです。

ナショナルブランドの食品や日用品は簡単に売れますが、コンビニのようなオリジナルの食品を用意できるかは大きな課題です。コンビニは何十年も掛けて食品の企画・開発のノウハウを蓄積していて、ドラッグストアがすぐに追い付くのは難しそうです。

ドラッグストアが食品スーパーやコンビニの代替店舗になるためには、弁当やお総菜などの食品の充実が期待されます。ドラッグストアが弁当工場を持つことをイメージすると違和感がありますが、将来的にはそうしたこともあるかもしれません。

ドラッグストア対コンビニで考えた時に、ドラッグストアの売り場、駐車場の大きさは強みになると考えています。コンビニは無駄のないコンパクトな店舗フォーマットで効率的ですが、品揃えの拡張性の点ではドラッグストアに大きく劣っています。

また、ネットショッピングの店頭受け取りのニーズも出てきていて、お店が小さいことがコンビニの弱点になる可能性があります。ドラッグストアはお客さんの要望に合わせて品揃えを拡大できますが、売り場が小さくてコンパクトなコンビニでは難しいです。

高齢化社会が進めばお客さんの買い物エリアは狭くなる

モータリゼーション(自動車社会)という言葉がありますが、小売業の変化を考える時にとても重要です。社会に自動車が普及することでお客さんの活動エリアが広がり、駅前の百貨店や商店街から、住宅街や郊外にあるお店へと買い物の場所が移りました。

さらに、2000年代に入ったあたりから特に郊外への大型店の出店が加速して、大きな幹線道路周辺にはたくさんの専門店ができました。出店コストが安いアクセスの悪い郊外にお店を作っても、お客さんは自動車で買い物に来てくれるので小売業は助かりました。

しかし、郊外立地はもう危険で、都市部への出店を強化するべきだとする意見が出てきています。お客さんが郊外まで買い物に来なくなる理由は、便利なネットショップの登場、若者の自動車離れ、体力が落ちる高齢者の増加の3つだと考えています。

この3つが郊外の店舗に与える影響は本当に大きく、郊外に買い物に出かけるお客さんが徐々に減ることは確実だと考えています。また、ネットショップは価格競争力がありますから、実店舗が出店コストの高い都市部で競争することも大変です。

お客さんの買い物範囲が狭くなることで、「買い物のしやすさ」が大事になって来ています。多くの小売業は安売りをすることに力を入れて来ていて、買い物のしやすさにほとんど関心を持っていなかったため、重要だと考える人は少ないかもしれません。

コンビニ、ドラッグストア、Amazon、楽天などの人気を見ても、お客さんにとって買い物のしやすさが重要なことが分かります。郊外にある大型の家電量販店、書店が苦戦しているのも、ネットショップの価格だけではなく品揃えや利便性も関係しています。

高齢者は医薬品が買えるお店で多くの商品を買うようになる

高齢者が今後どのように買い物をするのかを考えると、医薬品を販売するドラッグストアが中心になる可能性は充分あります。ドラッグストアが台頭する以前は、総合スーパー、食品スーパー、ホームセンターなど複数のお店を買い回ることが普通でした。

今でもこの買い物方法が主流ではありますが、歳を取って来ると複数のお店を回ることが徐々に難しくなって来ます。いくつかの専門店に行かなくなる可能性が高いですが、ドラッグストアが行かなくなるお店になることは起こりそうにありません。

医薬品の購入が不可欠なお客さんは、ドラッグストアですべての買い物ができれば良いのにと考えることになります。こうしたニーズは既に存在していると想定するべきで、ドラッグストアの品揃えが拡大するのはお客さんのニーズの拡大に合わせたものです。

生活に不可欠な医薬品で集客をして、食品や日用品を売れていますから、ここからさらに衣料品、家具、家電を売るチャンスもあると思います。お客さんが必要とする商品を調査してスピーディーに入れ替えていけば、さらなるお客さんの囲い込みが進みます。

宅配サービスの拡大も見込まれているのですが、ドラッグストアはいくつかの点でコンビニよりも優位に立っていると言えます。宅配を行うためにはたくさんの商品を管理する必要がありますが、お店の規模はコンビニよりも一回り大きく拡張性があります。

また、コンビニは単に商品を買う場所ですが、ドラッグストアは健康についてコンサルティングを受ける場所でもあります。お客さんがどちらのお店をより信頼するのかは分かりませんが、高齢者のお客さんはドラッグストアの方を好むような気がします。