スマートフォン時代に飲食店予約システムはブレイクするのか

スマートフォン時代に飲食店予約システムはブレイクするのか

カカクコムが2012年から開始した飲食店予約システムcena(チェーナ)の数字が発表されていて、伸び率は小さいですが予約件数が増えています。カカクコムが運営している飲食店口コミサイトの食べログは、お客さんと飲食店を囲い込んで飲食文化を育んでいて、飲食店予約が増える土壌ができつつあります。

スマートフォンが普及していることも大きく、お客さんは飲食店のメニュー、価格、場所、営業時間をスマートフォンで調べています。人口が減ってお客さんを飲食店同士が奪い合うようになる中で、飲食店は予約件数を増やして経営効率を高めたいところです。

飲食店予約システムの利用者はまだ少ないが順調に推移

このリリースには細かい数字が出ているのですが、予約件数は開始からの9カ月間で10万人、その後の6ヶ月間で10万人となっています。これを1日あたりの数字にしてみると、最初の9ヶ月間は1日370人、その後の6ヶ月間は1日555人となっています。

インターネットビジネスでは爆発的に数字が伸びることが多いのですが、飲食店の予約に関しては伸びは小さいと言えます。業界最大手の食べログの数字ですから、たくさんのお客さんに飲食店予約システムを使ってもらうにはまだ時間が掛かりそうです。

食べログサイトの訪問者は月間4,500万人となっていて、1日あたり約150万人が訪問していることになります。1日の訪問者の150万人のうち、555人が飲食店を予約していることになるのですが、利用率は約0.037%とまだまだ利用者は少ない状況です。

口コミサイトの使い方として、目ぼしいお店を見つけた後で、さらに情報を得るためにお店のホームページを見に行く人が多いです。お店のホームページを見て実際に行くことが決まれば、口コミサイトに戻ることなく、そのまま電話で予約することになります。

飲食店予約件数の伸び率は大きくはないのですが、時間経過とともに徐々に使われるようになるのではないかと思います。食べログの有料会員数は順調に伸びているため、この中から飲食店予約システムを使う人も同じように伸びると考えています。

食べログのサイト自体へのアクセスが安定して成長していますから、訪問者を予約システムの方へと誘導することは難しくはありません。飲食店のサイトへと離脱する人が多いため、食べログ内で飲食店の下調べ、予約が完結するような仕組が必要だと思います。

カカクコムが今になって飲食店予約システムを始めた理由

食べログのスタートは2005年の3月からですが、既にその時にはオンラインで予約する概念自体は存在していました。2012年になってからネット予約システムを開始することになりますが、なぜ今までやらなかったのかというのは気になるところです。

ネット予約システム自体は複雑なものではないため、技術的な理由よりもマーケティング的な理由が大きそうです。一番順当な理由は需要がないからというもので、お客さん側も飲食店側も予約の必要性を感じていなかったと思います。

カカクコムが今になってネット予約システムを開始するのは、このシステムがたくさん使われる手応えがあることになります。私は飲食店予約が拡大すると考えていますが、その理由は食べログがお客さんと飲食店の双方を囲い込んでいるからです。

飲食店側、お客さん側から大量の写真や口コミが投稿されることで、飲食店とお客さんの関係がより密なものになりました。食べログで飲食店の情報を調べて利用するお店を決めたお客さんが、そのままの流れで予約をするのは起こりそうです。

ネット予約システムがうまく機能している分野は宿泊で、娯楽の旅行、ビジネスの出張の双方で予約システムが使われています。宿泊用の予約システムが機能している理由は、宿泊予約サイトが宿泊施設とお客さんを囲い込んでいるからですが、食べログも同様に飲食店とお客さんを囲い込んでいます。

宿泊の予約システムが成功している状況を見ると、飲食店の予約システムも同じように成功する可能性が高いと思っています。宿泊の場合はもともとお客さんのニーズがありましたが、飲食の場合は口コミサイトの普及によって予約をする環境が整ってきました。

スマートフォンの普及で時間と場所を問わずに予約が入る

スマートフォンが普及したことにより、お客さんはいつでも、どこでも、自分の好きなタイミングで消費活動が行えるようになりました。これまでは仕事中に消費活動が行えるのは会社の外に出る営業マンくらいで、仕事中の人はお客さんではありませんでした。

しかし、スマートフォンから各種注文が行えるようになったことで、仕事中の人であってもお客さんであると考えることができます。スマートフォンへの対応が重要だと言われていますが、ここで後れを取ってしまうと注文を逃してしまうことになります。

あらゆるビジネスにおいてスマートフォンは新しいチャンスですが、飲食店は特にスマートフォンとの相性が良いと考えています。例えば、物販の場合はスマートフォンで商品を見ても、そのままの流れで購入を決断することは難しいです。

お客さんはスマートフォンで商品を調べても、実際に購入する時には家のパソコンで行っているとのデータもあります。一方、飲食店の場合は単価が安いことが多く、既に知っているお店を利用する場合もあるため、物販よりも注文のハードルは低いです。

インターネットが登場する以前の飲食店情報の仕入先はフリーペーパーで、これを見ながらどこのお店に行くのかを決めていました。フリーペーパーにはインターネットのようにレビューが付いていないため、お店を決めるのには結構長い時間が掛かります。

電話をしてあれこれ話すのが面倒なため、「また時間がある時にやろうか」という感じで話が流れてしまうこともよくありました。この点、スマートフォンから簡単に予約できる方法があれば、「もう決めてしまおう」となって予約が決まる可能性が高くなります。

飲食店は予約システムで固定客を作ってお店を効率よくしたい

日本ではこれから人口が減少して行くことになるため、企業やお店はお客さんの取り合いをするようになります。お客さんがお店にやって来るのを待っていることは危険で、積極的にお客さんの方へと働きかけて、注文をもらうようになります。

物販においては、便利な買い物ができるネットショップが人気になれば、お客さんは実店舗へとやって来なくなります。飲食店においてもデリバリーや予約の先取り競争が行われ、他店に先駆けて予約を獲得しなければお客さんがお店にやって来なくなります。

飲食店で使う食材は消費期限が短いため、需要の予測を誤ってしまえば大量の廃棄ロスを出してしまいます。こうしたロスを避けるために、単価の高い食材を使っているお店では事前に予約をしてもらうことで、損失を抑える工夫をしてきました。

また、予約システムがあれば人員計画などの予定も組みやすくなり、お店の経営効率が高まる効果もあります。従来は高額の料理を出すお店だけが予約の恩恵を受けることができましたが、予約システムが普及すれば単価の安いお店でも効果が期待できます。

予約システムでお客さんを管理することができれば、どのお客さんがお店を何回利用してくれているのかが分かります。お店の売上に貢献してくれているお客さんに注力することで、お得意様をさらに長期間お店に繋ぎ止めることも可能です。

予約システム導入によるお店の経営の効率化と、優良顧客への優遇は飲食店経営において重要になって来ます。飲食店の予約に対して何らかのインセンティブ(特別サービス)が付くようになれば、お客さんも積極的に予約システムを使ってくれるようになります。