家電量販店の数年後はどうなっているか分からない状況

家電量販店の数年後はどうなっているか分からない状況

ヤマダ電機が営業利益の見通しを大きく下方修正する発表をしていて、たくさんのニュース記事があります。ネットショップとの価格競争が頻繁に話題になりますが、これまでの売上を維持するために値下げを行った結果、営業利益が大きく減っています。

すぐに有効な対応策を生み出すことは難しく、この状態が数年続けば営業赤字に陥る可能性も出てきました。営業利益率は食品スーパー並みの2%程度に下落していて、ネットとの価格競争が続く限り営業利益率の低下は避けることができないと思います。

ヤマダ電機の直近の営業利益率は約2%と大きく落ち込んでいる

10年くらい前、簿記の勉強のために家電業界の分析をしたことがあったのですが、ヤマダ電機の営業利益率は業界でも突出していました。ヤマダ電機の営業利益率は5-8%近くあって、これは他社の1.5-2倍くらいの数字だったように記憶しています。

大型店を出店して売上規模を拡大する、仕入コストが下がる、営業利益率が改善するというサイクルがうまく回っていました。競合他社よりも一回り大きな車輪が回っている感じで、高い営業利益率を維持しながら売上を伸ばして他社を引き離していました。

しかし、ここ1,2年は営業利益率の悪化が起こっていて、下方修正された見通しではわずかに2%しかありません。家電量販店は商品の単価も高いため営業利益率も高かったのですが、直近の数字は薄利多売の食品や日用品のような利益率になってしまっています。

ヤマダ電機の営業利益率が悪化する理由として最も妥当なものは、ネットショップの価格に合わせた結果、粗利益率が悪化するというものです。この傾向は一時的なものではなく継続性があるため、今後も販売価格の下落は続くのではないかと思います。

ヤマダ電機はネットショップと価格競争をすることを宣言していますが、価格競争をした結果、営業赤字が目前になっています。何とかしてヤマダ電機ならではの付加価値を生み出したいのですが、メーカーやサービス業ではありませんから難しいことです。

ネットショップの価格に合わせなければ競争に負けてしまうため、ネットショップにお客さんを取られて売上が落ちることになります。ネットショップの価格を調べてから家電量販店に行くお客さんも増えて来ていますから、ネットショップの存在を意識しないわけには行きません。

小物のデジタル家電を量販店で買うメリットがなくなっている

小物のデジタル家電の売上が落ちているようですが、お客さんがこれらの商品を実店舗で買うメリットがなくなりつつあります。小物のデジタル家電は人気があるので、ネットショップも力を入れていて、実店舗よりも安い価格を付けているお店も多いです。

価格が安くても知らないネットショップで買うことには不安があるのですが、メーカーの信頼性が高いことはお客さんの不安を小さくします。商品の品質が良いので問題ないだろうと考えるお客さんは、よく知らないネットショップでも買い物をします。

購入後のアフターサービスがあまり重要ではない点も、小物のデジタル家電を実店舗で買う必要がない理由です。購入後もアフターサービスが必要な冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの大型家電は、ネットショップで売れているという話は聞きません。

これらの商品は何かトラブルがあった場合に不安なので、少々価格が高くてもお客さんは実店舗で購入します。ネットショップでも大型家電の品揃えや価格は魅力に乏しく、売れる可能性が高くないからなのか、積極的に取り組んでいるようには見えません。

小物のデジタル家電は低単価のものが多く、買い換えのライフサイクルが短いというのも実店舗で買わない理由としてあるのではないかと考えています。買い換えのライフサイクルが短いですから、家電量販店が用意する長期の保証が価値がない場合もあります。

小物のデジタル家電が好きなお客さんは次々に新商品を買いますから、少しでも安く買いたい意思が強いです。安く買いたいお客さんはネットショップの価格に詳しいですから、こうしたお客さんが家電量販店に買い物に来れば値段を下げざるを得ません。

メーカーがお客さんに直接販売する新しい販路が出てきている

最近、インターネットを見ていて少し違和感を感じたのですが、キャノンのデジタルカメラを紹介するブログ記事をたくさん見ました。このデジタルカメラが注目商品なのかもしれないのですが、あまりにも紹介する記事が多かったので印象に残りました。

人気のあるブロガーに商品を紹介してもらえれば、数日間で数万人、数十万人に商品を見てもらうことも可能です。紹介記事がお金をもらったものかどうかは分からないのですが、私はこのデジタルカメラに興味をもって、買おうかなと少し考えてしまいました。

お客さんが実際に使用する商品を作っているのはメーカーであり、お客さんの抱えている問題を解決するのはメーカーの商品です。最近では小売業の方が力を持って来ていると言われていますが、小売業はメーカーとお客さんの仲介者であり、お客さんが必要としているのはメーカーが作る商品です。

メーカーとお客さんが直接繋がる販路ができると、小売業の立場は弱くなってしまいます。今回は家電量販店が苦戦する中でデジタルカメラのブログ記事を見たことで、メーカーとお客さんが繋がり、存在感が弱くなる家電量販店の姿がイメージされます。

ブログが台頭して来た2005年頃の話ですが、お金をもらって商品をブログで宣伝するタイプの広告が登場しました。当時はあまり受け入れられずにブレイクすることもなかったのですが、スマートフォンの登場でこのタイプの広告も流行る気がしています。

インターネット広告に関するアンケート調査を見ると、若い人たちは上の世代とは異なり、広告に対して寛容な意見が多いです。このような背景を考えると、メーカーがお客さんに直接販売する販路は、今後拡大する可能性があるのではないかと思っています。

生活必需品を販売する小売業のビジネスも不安定になる危機

小売業は食品、日用品、衣料品、家電などの商品を販売していますが、小売業の業績は大きくぶれることなく、少しずつ右肩上がりになることが多いです。お客さんの毎日の生活が劇的に変わることはありませんから、小売業の業績も同じく劇的には変化しません。

今回は生活必需品を販売する家電量販店のヤマダ電気の大幅な下方修正ということで、小売業全体に危機感を与えるものでもあります。ヤマダ電機は業界内ではリーディングカンパニーですから、業界全体に与える影響もネガティブなものになります。

堅実に業績を伸ばして来たヤマダ電機が下方修正を発表したことで、Amazonを含めたネットショップの影響が意識されます。価格、品揃え、配送など、ネットショップは質を高めていて、従来の小売業もネットショップの影響を受け始めています。

値下げをしなければお客さんはネットショップで買い物をすることになり、営業利益率が下がらない代わりに売上が下がったはずです。ネットショップに対抗して値下げを行い、営業利益率を悪化させる企業がこれから増えて来ることになりそうです。

ヤマダ電機の営業利益率は2%近くまで下がっていて、このまま低下が続けば営業赤字に陥ることもないとは言えません。食品であれば特に驚きはない営業利益率ですが、数年前には5%を超える営業利益率があったわけですからショッキングな落ち込みです。

ヤマダ電機は会長が社長に復帰する人事を発表しましたが、今後数年は目が離せない状況になっています。ネットショップからの安売り圧力に対してどう対応するのか、価格を下げ続ければ状況は悪くなりますが、そうしない以外の方法が思いつきません。