飽和状態だと言われ続けているコンビニ業界の競争が激しい

飽和状態だと言われ続けているコンビニ業界の競争が激しい

コンビニ業界では出店の余地がなくなる中で競争が激しくなり、上位チェーンと下位チェーンの差が広がっています。新商品の開発とテクノロジーへの継続的な投資が不可欠ですが、資金力で劣る中小チェーンは上位チェーンに付いていけなくなります。

Amazonなどのネットショップが台頭していますが、コンビニとネットショップは「利便性」を付加価値にする点で似ています。コンビニは店舗からの宅配に取り組んでいますが、お客さんとの関係を強化することでたくさんの商品を販売するチャンスがあります。

プライベートブランドの充実でセブンイレブンが独り勝ちの状態

コンビニは同じようなお店で、同じような商品を売っているように見えますが、チェーンによって1日の売上には差があります。記事によれば、セブンイレブンが68万2,000円、ローソンが55万8,000円、ファミリーマートが53万7,000円となっています。

セブンイレブンは他チェーンより10万円程度日販が高いというのは昔から言われていて、現在はその差が拡大している状況です。仮にすべてのチェーンが毎年同じ数の店舗を出していくとすると、全体の売上ではセブンイレブンが2位以下を引き離していくことになります。

普通のお客さんにコンビニの日販の数字を見せると、セブンイレブンの数字が高いことについて納得する人が多いと思います。私はセブンイレブンの商品が美味しい気がするのですが、周りの人に聞いても同意してもらえることが多いです。

美味しさは数字で測定することができないのですが、日販の数字を見るとやはりセブンイレブンの美味しさはお客さんに認識されています。味以外の要素としては立地が重要ですが、一番早くコンビニを始めたセブンイレブンは好立地のお店が多いです。

コンビニ各社ともにプライベートブランドを開発していますが、セブンイレブンのセブンプレミアムの存在感が大きいです。私は上位3社のコンビニをすべて利用しますが、プライベートブランドの差は味もそうですが規模の差もあります。

セブンイレブンはイトーヨーカドーやヨークベニマルなどグループ企業があり、こちらでもセブンプレミアムを販売しています。ローソンやファミリーマートと比較してプライベートブランドのカテゴリが多く、お客さんの認知度が高くなっています。

テクノロジーへの投資が行えない中小チェーンは取り残される

コンビニでは昔からITシステムが競争力の源泉だと言われていて、ITシステムは5年に1回は更新のための投資が必要になるとのことです。コンビニはPOSシステムのデータの活用で知られていますが、限られた小さな売り場で売上を最大限に伸ばすためです。

何個仕入れて何個売れたという情報の収集と分析を繰り返すことで、ロスと機会損失を最小にする発注を行うことができます。コンビニはアルバイトやパートが多いですから、誰が使ってもそこそこの結果が出るシステムが必要になります。

従来のPOSシステムでは商品の販売数量を重視していて、どのお客さんがどの商品を買ったのかまでは追跡できませんでした。しかし、現在ではポイントカードや電子マネーを使うことで、誰がどの商品を買ったのかの紐付けができるようになっています。

例えば、1ヶ月にある商品が300個売れるとしても、300人が1個ずつ買っているのか、50人が合計で300個買っているのかでは意味が違います。販売数量は同じ300個なのですが、売れ方を見ると後者の場合はお客さんが繰り返しリピート購入している重要商品だと言えます。

顧客データを活用した商品開発も計画されていて、お客さんの情報をたくさん持てば持つほど、ニーズに合った商品開発ができます。ITと商品開発への投資の重要性が高くなれば、上位3社に資金面で劣る中小規模のチェーンは生き残りが厳しくなります。

上位3社が次から次に新商品を出す流れに付いていけなければ、お客さんからは新商品がないお店だと評価されてしまいます。上位3社の中でも売上に差が出始めていますから、商品力で劣る中小規模のチェーンとはさらに大きな差が生まれます。

コンビニと同じくお客さんに利便性を提供するAmazonは強敵

コンビニがお客さんに提供している付加価値は何かと言えば、簡単に買い物ができる利便性だと考えています。好立地にお店があり、商品は簡単に探せますし、レジの待ち時間も短く、小売業の中でも一番買い物がしやすいお店だと言えます。

昔からコンビニは商品の価格が高くても売上を伸ばして来ましたが、お客さんは利便性にもお金を払っていることになります。最近はプライベートブランドの質も高まったことで、従来の強みである利便性と合わせてお客さんに支持されています。

ネットショップのAmazonは今のところコンビニの競合ではないですが、利便性という付加価値を強みにしている点はコンビニと同じです。現在、Amazonを頻繁に利用しているのは仕事が忙しい高収入の人たちだとされていて、買い物に行く時間がなく、多くの商品をAmazonで買うので客単価が高いそうです。

これはコンビニで食品や日用品を買う人たちの動機と似ていて、コンビニで食品や日用品を買う人たちも、忙しいので食品スーパーやドラッグストアに行きたくない人たちです。例えば、コンビニとAmazonの商品の品質に差がなくなるような状態になれば、Amazonがコンビニからお客さんを奪うこともあるかもしれません。

これまでの小売業では商品の質や価格が重要だとされていて、この2つで他社と差別化することに力を入れて来ました。しかし、ネットショップが登場したことで、新しく「買い物の利便性」も他社との差別化の重要なポイントとして浮上しました。

書籍はどこで買っても価格も品質も同じ商品でしたが、納期が早くて確実に商品が手に入るAmazonが登場したことで新しい競争が生まれました。コンビニは元々利便性を強みとして来たため、ネットショップとの利便性競争でも渡り合えます。

高齢化社会が進む中で好立地を活かした宅配サービスを強化

コンビニ各社は高齢化社会を見越して弁当の宅配サービスを開始していて、5年後、10年後は宅配サービスの存在感が大きくなっていると思います。日本全体で高齢者が増えて来れば、今までの自動車での来店を前提にした小売業にも変化が必要になります。

ネットショップは自宅に商品を届けてくれますから、いずれは多くの高齢者に利用されるようになる可能性が高いです。これに対して実店舗がどうやって対抗するのかと考えると、同じように自宅に商品を届けることでネットショップの強みを消せます。

コスト的に負担が大きな宅配ができるのも、十分な資金、豊富な店舗網、士気の高いオーナーを抱えているコンビニの強みです。低価格の食品だけの配達では単価も伸びませんが、将来的には日用品、雑貨なども販売できる可能性があります。

いよいよ高齢化社会が進行すれば、あれも売って欲しい、これも売って欲しいとお客さんから要望が出るはずです。そのような状況に持って行くことができれば、お客さんを囲い込んで様々な商品を販売することで配達コストの負担も軽くなります。

地方では小売業の新規出店の勢いが落ちていて、地域住民が買い物場所として、コンビニに期待するものも多くなっています。総合スーパー、食品スーパー、ディスカウントストア、ホームセンター、ドラッグストアなど、食品・日用品を買うお店はいくつかありますが、遠いものだと自動車で30-60分掛かることもあります。

コンビニは多くの住民にとって最も買い物に行きやすいお店ですから、ここでたくさんの商品が買えればという期待はあります。高齢化社会ではコンビニへの期待が高まり、店舗と宅配を組み合わせて売上を伸ばせるのではないかと考えています。