家電量販店がやって来たことで現在問題になっているもの4個

ヤマダ電機が店舗を大量に閉店するニュースが出たことで、ネット上には家電量販店についてたくさんの意見が投稿されています。ヤマダ電機に限ったことではないのですが、家電量販店の戦略でまずかったなと思うことを4個あげてみました。

家電量販店は安売りをするために全力を注いできましたが、オンラインショップの登場で安売りで勝つことが難しくなってしまいました。これまでは最安値を提供することで売って来ましたが、これからは最安値でなくても売れる仕組みを作ることが目標になります。

値下げ交渉で価格に不信感を持つお客さんを増やして来たこと

家電量販店はお客さんに値下げ交渉をすることを強いていますが、これはお客さんの立場からすると買い物がしにくいです。お客さんは商品の価格がいくらであれば妥当なのか分かりませんし、他のお店の価格を調べるにも手間と時間が掛かります。

値下げ交渉をする人には安く売って、しない人には高く売って、お客さんの価格に対する不信感を強めることになりました。家電量販店がこうしたお客さんによって異なる価格で販売する目的は、価格交渉をしない大人しい人に高く売るためだという意見もあります。

店員は商品のプロで豊富な経験と情報があり、経験と情報の差を活用して、お客さんに有利な立場で商品を販売して来ました。例えば、本当は人気がない商品にもかかわらず、売れているとお客さんに嘘を付いて接客する店員もたくさんいました。

しかし、インターネットが普及した現在では、お客さんは以前とは比較にならないほど多くの情報を持っています。家電量販店での価格交渉に負担を感じていたお客さんも、ネットの情報を使って簡単に価格交渉をできるようになりました。

家電量販店で行われているお客さんと値下げ交渉をする仕組みは、結果的に家電量販店全体の売価を下げる圧力になってしまいました。ネット上に価格比較サイトが構築されたことで、家電量販店は自社の好きな価格で商品を売ることが不可能になっています。

ジリジリと売価が下がっていることは明らかで、家電量販店各社の決算書を見ても営業利益率の悪化が続いています。価格交渉を負担に感じていたお客さんは新しい武器を手にしたことで、これまでの損失を取り返すべくお店側に値下げを迫っています。

サービス競争ではなく価格競争で売上の奪い合いをして来たこと

私は2000年代に家電量販店でよく買い物をしたのですが、家電量販店同士が今とは比較にならないほどライバルを意識して競争をしていました。競合店舗のすぐそばに新店を出すのは一つの方法で、郊外では家電量販店同士が近接していることが多いです。

また、競合店舗の価格を毎日調査していて、自社の店舗の値札に近隣の競合店舗の価格を書いているお店もありました。オンラインショップが登場したためそれどころではなくなりましたが、昔は家電量販店同士で非常に激しくお客さんを奪い合っていました。

家電量販店が激しい価格競争をやって来れた背景ですが、それだけ家電に対する需要が大きかったのだと思います。2000年代はインターネットを始める人が多かったので、パソコン本体、パソコン関連商品には新しい需要がありました。

さらに、1970年代前半生まれのベビーブーム世代の結婚、出産なども、家電量販店の売上拡大に貢献しています。同じメーカーから同じ商品を仕入れて売るので商品での差別化が出来ない中で、価格競争が他の業界と比べて激しくなるのは順当なことでもあります。

価格比較サイトが登場して普及したことで、家電量販店は価格で競争することが実質不可能になってしまいました。競合店からどうやってお客さんを奪うかではなく、オンラインショップからどうやってお客さんを守るかに戦略も変わりました。

これまでは業界最安値を目指すことが目標でしたが、それが不可能になった時に、お客さんにどのような付加価値を提供すればいいのかが分かりません。価格以外の何かが求められるようになっても、価格以外のことを考えて来なかったのでアイデアが不足しています。

信頼される店員を育ててお客さんを囲い込んで来なかったこと

これは家電量販店に限った話ではないのですが、小売業の店員はお客さんに信頼されていないことが多いです。アルバイトやパートが知識不足なのは受け入れられやすいのですが、正社員風に見える店員の知識不足はお客さんの印象を悪くします。

家電量販店の店員は特にお客さんから信頼されておらず、ネット上でも不満の書き込みを目にすることが多いです。ただ、現実的に店員がすべての商品を自分で体験することは難しいですから、店員の知識不足はある意味では仕方がないことではあります。

実際の購入者の感想が投稿されるインターネットの口コミは、店員の存在意義をお客さんに考えさせる機会になっています。ネット上の口コミがお客さんの役に立つようであれば、実店舗で接客する店員の存在は何なのかと考える人も出て来ます。

店員は企業からの十分な教育が得られない状況で、日本全国の購入者の口コミと競わされるのは難しいことです。実店舗の売上がオンラインショップに流出する中で、店員はネットで得られない情報、付加価値をお客さんに提供できれば違いを作れます。

インターネットにお客さんの意見が投稿される時代になって分かったことですが、お客さんは驚くほど家電に関心を持っています。お客さんがこんなにも家電に関心を持っていたのであれば、信頼できる店員を育てて、お客さんとの関係を構築できていたかもしれません。

価格に対して敏感になっているお客さんは、その時その時の最安値のお店で買い物をするため、特定のお店と長い関係を持つことはありませんでした。お客さんの家電への関心をうまく活用できなかったことは、家電量販店にとっては痛いミスだったと言えます。

家電量販店以外で家電を買うお客さんの存在を無視して来たこと

多くの人が家電は家電量販店で買っているはずですが、ホームセンターやディスカウントストアでも家電の売場があります。冷蔵庫、洗濯機、掃除機などが狭い売り場ではあるものの陳列されていて、4月の異動時期には売場が大きくなるのでよく売れているようです。

個人的にはホームセンターやディスカウントストアで家電を買うメリットを感じませんが、買っているお客さんがいることは事実です。家電量販店からすると重大な取りこぼしに見えるのですが、この事実を問題視するような意見を見たことがありません。

家電自体の信頼性が高く壊れにくいため、どこのお店で買ってもいいやとお客さんは考えるのかもしれません。あるいは、家電量販店よりも価格が安くて、自分で設置などの責任を持つ、DIY精神の強いお客さんが買っている可能性もあります。

ホームセンターやディスカウントストアで家電を見るたびに、どんな人が買っているのだろうかと観察しています。価格、保証、修理サポートを考えると、家電量販店で買うべきなのですが、家電量販店で買うメリットがうまく認知されていないのだと思います。

家電はオンラインショップでもよく売れているのですが、小売業で働く人たちからすると少しショックではあります。高単価の商品は実物に触れずに購入の決断は出来ないだろう、実店舗は今後も必要とされ続けるだろうという希望的観測がありました。

しかし、家電をホームセンターやディスカウントストアで買えるのであれば、オンラインショップで買えることもおかしくはありません。「家電は家電量販店で買わないと損をする」という考えを、お客さんに浸透させることが出来ていればという感じです。

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